頭部冷却法は、ドセタキセルによる脱毛予防に有効

e0156318_15511146.jpg 抗癌剤の脱毛については自著(「寄り道」呼吸器診療)の中でその予防として頭部冷却法があることを述べました。この頭部冷却法は、過去に頭部の皮膚転移の懸念から一度姿を消そうとした歴史があります。この理由として、頭部への血流が減ることで抗癌剤到達量も減るためではないかと議論されました(Breast Cancer Res Treat 2009;118:547-552)が、頭部冷却推奨派の研究者の間では、そんなに懸念するほどでもないという意見も出ていたこともあり、議論は決着を見ませんでした。
 今回紹介するのは、238人の患者さんを登録した比較的規模の大きな試験の報告です。

Betticher DC, et al.
Efficacy and tolerability of two scalp cooling systems for the prevention of alopecia associated with docetaxel treatment.
Support Care Cancer. 2013 Sep;21(9):2565-73.


目的:
 化学療法による脱毛は多くの患者にとってストレスであり、治療の決断に影響を与えかねない。ドセタキセルベースの治療においては、脱毛はかなりの患者に起こりうる副作用である。われわれは、脱毛を防ぐための2つの頭部冷却法について検証した。

方法:
 オープンラベルプロスペクティブ非ランダム化試験において、ドセタキセル治療を受ける固形癌の患者が、点滴後45分の短期間のクーリング(Paxman® PSC-2マシン:PAX)、コールドキャップ(CC)、非冷却のいずれかに好きなものに割り付けられた。
 混合エンドポイントとして、WHO IIIあるいはIVの脱毛あるいはウィッグの装着の必要性を評価項目とした。

結果:
 238人の患者がこの試験に登録され、128人がPAX群、71人がCC群、39人が非冷却群に割り付けられた。化学療法のサイクル(中央値4)、ドセタキセルの投与量中央値(weekly:55-60 mg/day、3週ごと:135-140 mg/day)は同等であった。
 3週ごとのドセタキセル投与の患者において、PAX群、CC群、非冷却群でそれぞれ23、27、74%の脱毛がみられ、weeklyドセタキセル投与の患者では、7、8、17%の脱毛が観察された。総じて、冷却(PAXあるいはCC)は脱毛のリスクを78%減少させた(ハザード比0.22、95%信頼区間0.12~0.41)。CCおよびPAXによる予防は脱毛の予防を同程度に達成でき、有害事象は頭部の冷却感のみでこれも5%にしかみられなかった。30人(13%)の患者は1サイクル後に頭部冷却治療を続けなかった。

結論:
 これは頭部冷却法と脱毛について比較した初めての試験であり、PAXもCCも脱毛の予防的な効果をもたらすことがわかった。特に、ドセタキセル3週ごとの投与で効果的であった。


by otowelt | 2013-08-12 00:07 | 肺癌・その他腫瘍

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