アメリカの医学部4年生における感染症知識の現状

e0156318_1514314.jpg アメリカの医学部4年生ということは、日本の医学部6年生に相当すると考えていいでしょうか。それにしてもインセンティブでiTunesのギフトカードが登場してくる時代になったんですね。ちなみに回答者に利潤が発生すると、アンケートの回答の質が悪くなるとも言われています(金目当てで真面目に答えない回答者が増える)。

Lilian M. Abbo, et al.
Medical Students’ Perceptions and Knowledge About Antimicrobial Stewardship: How Are We Educating Our Future Prescribers?
Clin Infect Dis. (2013) 57 (5): 631-638.


背景:
 臨床で抗菌薬を処方することについて、医学生の認識、態度、知識を知ることは将来の処方に対する効果的教育を高めるものである。

方法:
 抗菌薬の処方と教育に関する24項目の電子サーベイがマイアミ大学、ジョンズ・ホプキンス大学、ワシントン大学における医学部4年生に対しておこなわれた(2012年1月~3月)。インセンティブとして、学生はアンケートをすべて答えることで10ドルのiTunesのギフトカードを与えられた。
 結果の公開は、学校別におこなったが、どの結果がどの学校のものかは同定できないようにA,B,Cで匿名化された(調べると、アメリカの医学生のツイッターでどの学校がA~Cなのか互いに当てっこしてました)。

結果:
 519人の生徒のうち317人(61%)がこのサーベイを完遂した。92%の回答者が、抗菌薬について深く知ることが彼らの将来のキャリアに重要であることに賛同し、90%は抗菌薬の適正使用についてより教育を受けたいと希望した。
 正しい回答項目数の平均は11項目(51%)であった。抗菌薬が不要なシナリオ(P = 0.016)や、抗菌薬に続発するClostoridium difficileの認識(P = 0.043)については各校ごとに差がみられた。
 抗菌薬について勉強する場所や情報源によって有意な差がみられた。最も情報源となったのはUpToDateであった。iPhoneやスマートフォンについては学校ごとに差がみられた(P < .0001)。また、Wikipediaも1校のみが突出して参照頻度が多く(P < .0001)、サンフォードガイドは1校のみが突出して参照頻度が少なかった(P < .001)。
 15%のみが医学部在学中に臨床感染症部門をローテートしており、ローテートしていない生徒と比較すると抗菌薬教育5ポイントスケールで高得点であった(平均点3.93 vs 3.44,P = .0003)。知識スコアの点数と選択科目として感染症を選ぶかどうかは関連性がなかった。

結論:
 感染症を学ぶ医学部や情報源、臨床選択科目によって、各校の医学部の生徒には抗菌薬使用に関する知識に有意な差がみられた。多角的教育は将来の患者ケアに対する基本姿勢と実践的処方に役立つだろう。抗菌薬耐性の問題を認識させることを手助けするために、われわれの未来の医師が抗菌薬適正使用と抗菌薬管理の原理と実践についてより教育を受けられるよう努力すべきであろう。


by otowelt | 2013-08-14 00:31 | 感染症全般

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