システマティックレビュー:先住民の結核罹患率は非先住民よりも多い
2013年 08月 30日
日本で最も結核罹患率が高いのは大阪市の一部の地域で、2012年の報告で10万人あたり200人くらいです。
このシステマティックレビュー、罹患率と有病率が入り乱れているのでややこしいのですが、とりあえず先住民の結核罹患率は多いことは間違いないようです。インドのオリッサ州先住民とアフリカのフラニ族の結核有病率がとてつもなく高いようです。
D. Tollefson, et al.
Burden of tuberculosis in indigenous peoples globally: a systematic review
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 17, Number 9, 1 September 2013 , pp. 1139-1150(12)
背景:
推計で存在する先住民3億7千万人の結核のひろがりについてはわかっていない(United Nations Permanent Forum on Indigenous Issues. State of the world’s indigenous peoples. ST/ESA/328. New York, NY, USA: UN, 2012.)。
目的:
この試験の目的は、先住民における結核のひろがりを調べ、現在の知見とのギャップを同定し、結核コントロールの一環として先住民の健康を優先させる研究事項をつくることである。
方法:
1990年1月から2011年11月までの間、先住民における結核についての報告を抽出し、システマティックレビューをおこなった。
結果:
19か国から91論文がレビューに組み込まれた。56試験のみがオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アメリカ以外の国からの報告だった。最も試験数が多かったのは、ブラジル(アマゾン)、カナダ(北アメリカ)、インドであった。 (文献より引用:黒は10以上の試験が報告された国)
ほとんどの試験は、先住民の結核の罹患率は非先住民よりも高いと報告していた。アマゾンの試験が最も高い結核の罹患率であったが、東南アジアやアフリカでもある選択集団においては同等の罹患率を有していた。
アフリカでは、フラニ族の有病率が最も高く、10万人あたり4600人、ドゴン族やプール族は10万人あたり1800人と報告されている。これは非先住民のそれぞれ10倍、5.5倍という数値であった。北アメリカの中では、たとえばイヌイットは最も高い罹患率を示したが(10万人あたり156人)、その他の民族であるカナダのメティやアメリカンインディアン、アラスカ原住民は10万人あたり10人未満と低かった。ニュージーランドのマオリ族やパシフィックアイランダーは、オーストラリアのアボリジニー族よりも高い結核罹患率を示したが、この集団においては非先住民に比べるとすべて結核罹患率は有意に高かった。
結論:
現存するデータを参照する限りでは、先住民は非先住民と比較して高い結核罹患率であると考えられる。しかしながら、地域によってかなり差異があることは否めない。
このシステマティックレビュー、罹患率と有病率が入り乱れているのでややこしいのですが、とりあえず先住民の結核罹患率は多いことは間違いないようです。インドのオリッサ州先住民とアフリカのフラニ族の結核有病率がとてつもなく高いようです。
D. Tollefson, et al.
Burden of tuberculosis in indigenous peoples globally: a systematic review
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 17, Number 9, 1 September 2013 , pp. 1139-1150(12)
背景:
推計で存在する先住民3億7千万人の結核のひろがりについてはわかっていない(United Nations Permanent Forum on Indigenous Issues. State of the world’s indigenous peoples. ST/ESA/328. New York, NY, USA: UN, 2012.)。
目的:
この試験の目的は、先住民における結核のひろがりを調べ、現在の知見とのギャップを同定し、結核コントロールの一環として先住民の健康を優先させる研究事項をつくることである。
方法:
1990年1月から2011年11月までの間、先住民における結核についての報告を抽出し、システマティックレビューをおこなった。
結果:
19か国から91論文がレビューに組み込まれた。56試験のみがオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アメリカ以外の国からの報告だった。最も試験数が多かったのは、ブラジル(アマゾン)、カナダ(北アメリカ)、インドであった。
ほとんどの試験は、先住民の結核の罹患率は非先住民よりも高いと報告していた。アマゾンの試験が最も高い結核の罹患率であったが、東南アジアやアフリカでもある選択集団においては同等の罹患率を有していた。
アフリカでは、フラニ族の有病率が最も高く、10万人あたり4600人、ドゴン族やプール族は10万人あたり1800人と報告されている。これは非先住民のそれぞれ10倍、5.5倍という数値であった。北アメリカの中では、たとえばイヌイットは最も高い罹患率を示したが(10万人あたり156人)、その他の民族であるカナダのメティやアメリカンインディアン、アラスカ原住民は10万人あたり10人未満と低かった。ニュージーランドのマオリ族やパシフィックアイランダーは、オーストラリアのアボリジニー族よりも高い結核罹患率を示したが、この集団においては非先住民に比べるとすべて結核罹患率は有意に高かった。
結論:
現存するデータを参照する限りでは、先住民は非先住民と比較して高い結核罹患率であると考えられる。しかしながら、地域によってかなり差異があることは否めない。
by otowelt
| 2013-08-30 00:59
| 抗酸菌感染症