ファーストラインで白金製剤を使用する非小細胞肺癌において、KRAS遺伝子変異は予後不良因子ではない

e0156318_15424893.jpg 非小細胞肺癌におけるKRAS遺伝子変異については以前、書きました。

非小細胞肺癌におけるK-RAS遺伝子変異は全生存期間を短縮

 JTOから、KRAS遺伝子変異は予後不良因子とは言えないという報告です。このレトロスペクティブ試験に登録されたのは、全員白金製剤を導入された非小細胞肺癌患者さんです。

Mellema, Wouter W., et al.
KRAS Mutations in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer Patients Treated with First-Line Platinum-Based Chemotherapy Have No Predictive Value
Journal of Thoracic Oncology:September 2013 - Volume 8 - Issue 9 - p 1190-1195


背景:
 KRAS遺伝子変異は、非小細胞肺癌(NSCLC)に対して悪い方向に働くものと考えられている。転移性NSCLCに対する化学療法におけるKRAS遺伝子変異の役割は、よくわかっていない。

方法:
 2つの大学病院のレトロスペクティブデータベースから、白金製剤を含むファーストライン治療を受けた進行非扁平NSCLC患者を抽出した(p63陰性)。KRASの遺伝子変異解析と化学療法の反応性との関連性を調べた(プライマリエンドポイント)。セカンダリエンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)との関連性とした。

結果:
 本試験に組み込まれた161人の患者のうち、94人が男性、67人が女性であった。年齢中央値は60歳であり、79%がIV期のNSCLCであった。60人(37%)がKRAS遺伝子変異を有していた。多かったのは、G12C、G12Vであった。KRAS遺伝子変異のある患者は、KRAS遺伝子野生型の患者と同等の化学療法反応性をみせた(p = 0.77)。
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(文献より引用)

 PFS中央値は、KRAS変異のある患者で4.0ヶ月、変異のない患者で4.5ヶ月であった(ハザード比1.3、95%信頼区間0.9–1.8、p = 0.16)。KARS遺伝子変異のある患者のOS中央値は7.0ヶ月、変異のない患者で9.3ヶ月であった(ハザード比1.2、95%信頼区間0.9–1.7、p = 0.25)。KRAS遺伝子変異のタイプは化学療法の反応性やアウトカムに影響を与えなかった。
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(文献より引用: A:PFS、B:OS)

結論:
 われわれの多施設のデータに基づくと、ファーストラインで白金製剤を用いるNSCLC患者におけるKRAS遺伝子変異の存在は、化学療法の反応性の悪さ、PFS、OSを悪化させる予測因子ではない。


by otowelt | 2013-09-11 14:57 | 肺癌・その他腫瘍

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