非HIV患者のニューモシスティス肺炎に対する高用量ステロイドはICU死亡率の増加に関連

e0156318_12163223.jpg HIV感染症がないニューモシスティス肺炎(PCP)に対するステロイドについてはあまりエビデンスはありません。過去に小規模の報告がいくつかありますが(Chest 1998,113(5):1215–1224.、Clin Infect Dis 1999, 29(3):670–672.)、ステロイドがPCPの死亡率を下げる効果は、あったとしてもごくわずかではないかと考えられています。
 ステロイドの使用量と重症度は多変量解析で個別の因子として記載されていますが、レトロスペクティブデザインでなおかつオープンジャーナルという点が気にかかります。
 PCPは少数しか経験したことがありませんが、ステロイドを使ったからといって死亡率が上がった印象は今のところありません。といっても、使わなかったらどうなるのか、という経験もないのですが。

Virginie Lemiale, et al.
Adjunctive steroid in HIV-negative patients with severe Pneumocystis pneumonia
Respiratory Research 2013, 14:87


背景:
 高用量ステロイド治療はAIDSによるニューモシスティス肺炎(PCP)において効果が確立されている。しかし、非AIDSによるPCPの効果はわかっていない。われわれは、HIV陰性のPCP患者におけるステロイドの生存に対する効果を検証した。

方法:
 PCPによる低酸素血症のためICUに入室した患者をレトロスペクティブに同定した。高用量ステロイド(プレドニゾン1mg/kg相当以上)、低用量ステロイド(プレドニゾン1mg/kg相当未満)、ステロイド非使用の3群を比較した。ICU死亡率に関連した独立因子を調べた。

結果:
 139人のHIV陰性PCP患者が登録された。年齢中央値は48歳(40~60歳)だった。主な基礎疾患は血液悪性腫瘍(55人、39.6%)、癌(11人、7.9%)、固形臓器移植(73人、52.2%)などであった。
 ICU死亡率は25%(36人)だった。高用量ステロイド群の死亡は72人(51.8%)、低用量ステロイド群の死亡は35人(25%)、ステロイド非使用群の死亡は32人(23%)だった。
 ICU死亡率の独立予測因子は、ICU入室時のSAPS II(オッズ比1.04、95%信頼区間1.01-1.08, P=0.01)、非血液悪性腫瘍(オッズ比4.06、95%信頼区間1.19-13.09, P=0.03)、血管作動薬の使用(オッズ比20.31、 95%信頼区間6.45-63.9, P<0.001)、高用量ステロイドの使用(オッズ比9.33、95%信頼区間1.97-44.3,
P=0.02)だった。高用量ステロイドは、ICU入室後の感染症とは関連していなかった。
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(文献より引用)

結論:
 HIV陰性のPCP患者において、高用量ステロイドの使用は死亡率増加と関連していた。これは感染リスクの上昇では説明できなかった。


by otowelt | 2013-09-17 00:52 | 感染症全般

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