受動喫煙は小児喘息に悪影響を与える:PI3K/Akt経路を介したHDAC2機能の抑制

e0156318_16462571.jpg 日本からの論文かと思ったら、イギリスからの報告でした。小児の気道における受動喫煙の有害性を報告したきわめて貴重な論文だと思います。
 PIK3/Akt経路を介したHDAC機能と小児喘息の関連性についての報告です。小児でBALを行うのは、なかなか難しいですね。

Kobayashi Y, et al.
Passive smoking impairs histone deacetylase-2 in children with severe asthma
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0835


背景:
 親の喫煙は、子供に対して気管支喘息の症状や治療反応性を悪化させることが知られているが、分子的メカニズムは不明である。近年、タバコの煙による酸化ストレスがPI3K/Akt経路を介してヒストン脱アセチル化酵素2(HDAC2)機能を抑制し、その結果ステロイド感受性を減弱させるのではないかと考えられている。この試験の目的は、受動喫煙に曝露された小児と非曝露の小児における肺胞マクロファージの分子学的異常を比較同定することである。

方法:
 19人のコントロール不良である気管支喘息の小児患者から得られた気管支肺胞洗浄液(BALF)のデータを解析した(10人が非受動喫煙小児、9人が受動喫煙小児)。BALF中のHDAC2発現/活性、Akt/HDAC2リン酸化レベル、肺胞マクロファージのステロイド反応性が調べられた。

結果:
 親の喫煙はHDACタンパク発現を54%減少させ、活性を47%下げた。加えて、Akt1のリン酸化レベルはHDAC2リン酸化レベルとよく相関しており、HDAC2活性と逆相関していた。さらに、受動喫煙は肺胞マクロファージにおけるTNF-α誘導CXCL8(インターロイキン8)に対するデキサメタゾンの効果を阻害した。受動喫煙に曝露された気管支喘息の小児では、BALF中の好中球数やCXCL8濃度は相対的に高く、ACT(喘息コントロールテスト)の点数は低かった。

結論:
 受動喫煙は、PIK3シグナル活性を介したHDAC2機能を抑制する。これによって重症喘息の小児におけるステロイド感受性が低下するものと考えられる。この機序は、重症喘息の小児に対する治療標的となりうる可能性を秘めており、気管支喘息を有する小児において喫煙のない環境が必要であることを強調するものである。


by otowelt | 2013-09-24 00:18 | 気管支喘息・COPD

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