悪性胸膜中皮腫に対するシスプラチン+ゲムシタビンとシスプラチン+ペメトレキセドの比較

e0156318_22212150.jpg 9年間でシスプラチン+ペメトレキセドの連続登録患者が17人というのは一見少ないような気がしましたが、臨床試験が盛んな病院の場合、他の臨床試験とオーバーラップできないことやレジストリによって登録に規定があるのかもしれません。いずれにしても、ゲムシタビンとの比較データは興味深いですね。

Shukuya T, et al.
Comparison of cisplatin plus pemetrexed and cisplatin plus gemcitabine for the treatment of malignant pleural mesothelioma in Japanese patients
Respiratory Investigation, published online 16 September 2013


背景:
 シスプラチン+ペメトレキセドは手術不能の悪性胸膜中皮腫に対する標準的なファーストライン化学療法である。しかしながら、シスプラチン+ペメトレキセドとシスプラチン+ゲムシタビンを比較した試験はなく、シスプラチン+ゲムシタビンの悪性胸膜中皮腫に対する効果は過去の第II相試験結果に基づくデータしかない(J Clin Oncol 1999;17:25–30.、Am J Clin Oncol 2005;28:223–6.、Lung Cancer 2008;60:259–63.、Br J Cancer 2002;87:491–6.、Br J Cancer 2002;86:342–5.)。この試験は、日本人の悪性胸膜中皮腫患者に対するシスプラチン+ペメトレキセドの効果をシスプラチン+ゲムシタビンと比較することを目的とする。

方法:
 静岡がんセンターにおいて、2002年7月から2011年12月まで、手術不能の悪性胸膜中皮腫の患者でシスプラチン(80mg/m2、day1)+ゲムシタビン(1000mg/m2、day1, 8)を投与した13人、シスプラチン(75mg/m2、day1)+ペメトレキセド(500mg/m2、day1)を投与した17人の連続患者を登録した。これらの患者の診療録をレトロスペクティブにレビューし、抗癌剤の毒性と効果、患者背景を評価した。

結果:
 登録患者の年齢、性別、組織型、パフォーマンスステータス、喫煙歴、石綿曝露歴、病期に差はみられなかった。
 シスプラチン+ゲムシタビン、シスプラチン+ペメトレキセドの奏効率は15%、35%であった(P=0.4069)。また疾患制御率はそれぞれ77%、82%であった(P=0.9999)。無増悪生存期間はシスプラチン+ペメトレキセドの方がシスプラチン+ゲムシタビンよりも有意に長かった(中央値215.5日 vs. 142.5日)(P=0.0146、ハザード比0.3552)。全生存期間はシスプラチン+ペメトレキセドの方がシスプラチン+ゲムシタビンよりも長い傾向がみられた(中央値597.5日 vs. 306.5日) (P=0.1725、ハザード比0.5516)。血液毒性、特に血小板少と好中球減少はシスプラチン+ゲムシタビンの方が多かった。

ディスカッション:
 過去にシスプラチン+ペメトレキセドとシスプラチン+ゲムシタビンを比較したレトロスペクティブ試験があるが、この試験では全生存期間に有意差はなかった(Lung Cancer 2009;64:308–13.)。しかしながら、奏効率や毒性についての報告はなかった。本試験では、それらのデータを報告している。
 本試験はレトロスペクティブデザインであり、登録患者も少数であったため、確定的な結論は出せない。

結論:
 手術不能の悪性胸膜中皮腫においてシスプラチン+ペメトレキセドは優れており、標準的なファーストライン化学療法であり続けるべきである。


by otowelt | 2013-09-30 00:10 | 肺癌・その他腫瘍

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