結婚している方が癌患者にとって有利

e0156318_2155139.jpg 「―――ちょっとあなた、病院行った方がいいんじゃない?」という妻の言葉の重要性を証明した試験、といったところでしょうか。ただし、あくまでSEERプログラムから解析をおこなったものであり、一つのデータとして客観的に眺める方がよいでしょう。

Ayal A. Aizer, et al.
Marital Status and Survival in Patients With Cancer
JCO September 23, 2013 JCO.2013.49.6489


目的:
 診断時の病期、確定的治療の実施、アメリカにおける癌特異的死亡(10の主要な原因による死亡)における結婚歴が与える影響を調べること。

方法:
 われわれは、SEERプログラムによって2004年から2008年の間に肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、肝・胆管癌、非Hodgkinリンパ腫、頭頚部癌、卵巣癌、食道癌と診断された126万898人の患者を用いた。臨床的情報およびフォローアップ情報が有効な73万4889人の患者を解析するため多変量ロジスティックおよびCox回帰分析を用いた。

結果:
 結婚歴のある患者は、結婚をしていない患者と比較して転移性病変が少なかった(補正オッズ比0.83、95%信頼区間0.82~0.84、P < .001)。また、結婚歴がある患者はより確定的治療を受けており(補正オッズ比1.53、95%信頼区間1.51~1.56; P < .001)、患者背景・病期・治療内容によって補正後の癌に起因する死亡リスクを下げた(補正ハザード比0.80、95%信頼区間0.79~0.81、P <.001)。
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(文献より引用:転移性病変)
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(文献より引用:癌に対する確定的治療)
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(文献より引用:死亡リスク)

 これらの関連は、個々の癌についても同様の結果であった(すべてP< .05)。
 この結婚歴によるアウトカムの利益は、女性よりも男性に顕著にみられた(P < .001)。
 前立腺癌、乳癌、直腸結腸癌、食道癌、頭頚部癌に対する結婚による利益は、過去の化学療法で報告されている生存期間よりも長かった。

結論:
 既知の交絡因子で補正すると、結婚していない患者は有意に転移、治療不実施、癌による死亡のリスクが高かった。この試験は、社会的サポートが癌の同定、治療、生存に与える潜在的に重要な影響を強調するものである。


by otowelt | 2013-10-02 00:06 | 肺癌・その他腫瘍

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