現代では重症患者における臨床診断と剖検診断の解離は少ない

e0156318_21524088.jpg 剖検をおこなう意義について深く検討された論文はなかなか見当たりません。剖検とは、“全”ではなく“個”で吟味すべきだからでしょうか。

Fröhlich, Stephen, et al.
Are Autopsy Findings Still Relevant to the Management of Critically Ill Patients in the Modern Era?
Critical Care Medicine, 28 August 2013, doi: 10.1097/CCM.0b013e3182a275b1


目的:
 この試験の目的は、現代における重症患者の剖検診断と臨床診断の診断精度を比較検証することである。

方法:
 われわれは、2006年6月から2011年6月までの間に死亡した患者の診療録と剖検所見をレトロスペクティブに盲検的レビューした。アイルランド、ダブリンにある大学病院のICUの症例を用いた。

結果:
 診断エラーを分類するために、改訂したGoldman基準を用いた(臨床診断と剖検診断の不一致に関するGoldman基準:Goldman et al. N Engl J Med 1983;308:1000、簡単に言うとクラス1が重大な解離でクラス5が完全一致)。
 629のICUでの死亡がこの試験に登録された。207人の剖検所見と204人の診療録がレビューに用いられた。平均年齢は59±18.1歳で、62%が男性、70%が術後患者、ICU在室日数の中央値は3日だった。
 Goldman基準で、クラス1のエラーは5人(2.4%; 95%信頼区間0.8-5.6%)、クラス2のエラーは11人(5.4%; 95%信頼区間2.4-9.7%)だった。全例2日あるいは3日間のICU在室であり、十分な診断をおこなえる猶予がなかった症例であった。微小な誤診は31人にみられた(15.2%、95%信頼区間4.5-12.4%)。臨床診断と剖検診断の完全一致(クラス5)は161人(79%、95%信頼区間72.7-84.3%)にみられた。診断の解離があった半数以上において、適切な精査をおこなっても生存期間中の診断が主治医にとって不可能であった。
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(文献より引用)

結論:
 現代において、重症患者に対する臨床と病理学的な診断の解離は低いだろうと考えられた。これは診断技術が向上したこと、診断学的な分類がより堅固になったことなどが挙げられる。ただしかし、剖検は適切な精査をした患者の診断的解離を同定できるものである。臨床診断と剖検診断の解離の頻度や剖検がもたらす価値のある情報を持つ患者を調べるために、さらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2013-10-01 00:13 | 集中治療

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