ICU入室患者は長期的な認知機能障害のリスクが高い

e0156318_2056452.jpg ICUに入室した患者さんのその後のQOLや認知障害については過去にいくつか報告があります。

P.P. Pandharipande, et al.
Long-Term Cognitive Impairment after Critical Illness
N Engl J Med 2013; 369:1306-1316


背景:
 重症疾患の生存者は、日常生活に支障をきたすとされている。また遷延性認知機能障害を有することが多くいが、その特徴はほとんど明らかになっていない。

方法:
 呼吸不全またはショックで内科系あるいは外科系のICUに入室した成人患者を登録し、入院中にせん妄を評価した後、退院後3ヶ月と12ヶ月での全般的認知機能と実行機能も評価した。この評価には、神経心理検査the Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(スコアが低いほど全般的認知機能が低い)とトレイルメイキングテスト(数字と文字を「1→a→2・・・」のように交互に結ぶ[Part B]、スコアが低いほど実行機能が低い)を用いた。せん妄の持続期間とアウトカムとの関連、鎮静薬または鎮痛薬の投与とアウトカムとの関連は、交絡因子で補正した線形回帰モデルを用いた。

結果:
 821人中、ベースラインで認知機能障害があったのは6%で、74%が入院中せん妄を発症した。3か月時の全般的認知機能スコアは、患者の40%で母平均より1.5SD低く(中等度の外傷性脳損傷患者と同じ程度)、26%で2SD低かった(軽度のAlzheimer病患者のスコアと同じ程度)。認知機能障害は高齢患者と若年患者の両方で観察され、12か月時でも持続しており、全患者の34%が中等度の外傷性脳損傷患者と同じ程度、24%が軽度のAlzheimer病患者と同じ程度だった。せん妄の持続期間が長いほど、3か月および 12か月時の全般的認知機能の不良に独立して関連していた(P=0.001、P=0.04)。また実行機能の不良とも関連していた(P=0.004、P=0.007)。鎮静薬あるいは鎮痛薬の投与は、3か月時あるいは12か月時のいずれにおいても認知機能障害とは関連していなかった。

結論:
 内科系あるいは外科系ICU入室患者は、長期的な認知機能障害のリスクが高かった。入院中のせん妄期間が長いほど、3か月および12か月時の全般的認知機能と実行機能のスコアが不良であった。


by otowelt | 2013-10-04 00:20 | 集中治療

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