バレニクリンは安定した大うつ病患者において抑うつ症状を増悪させることなく禁煙率を向上

e0156318_23175684.jpg バレニクリンとうつ病の関連については禁煙外来をしている医師にとって重要なポイントだろうと思います。

Robert M. Anthenelli, et al.
Effects of Varenicline on Smoking Cessation in Adults With Stably Treated Current or Past Major Depression: A Randomized Trial
Ann Intern Med. 2013;159(6):390-400.


背景:
 うつ病は喫煙者に多くみられる。

目的:
 うつ病患者の禁煙治療で、バレニクリン(チャンピックス®)あるいはプラセボを内服した場合の、禁煙と気分・不安の変化について評価すること。

デザイン:
 第4相多施設共同二重盲検ランダム比較試験。

参加施設:
 8ヶ国38施設。

対象:
 現在あるいは過去において大うつ病に対して治療され安定している患者で、最近の心血管イベントのない喫煙者525人。

介入:
 バレニクリン1mg1日2回投与あるいはプラセボを投与した。12週間の投与期間とその後40週間の非治療観察期間を設定した。

評価項目:
 プライマリアウトカムは、9~12週での一酸化炭素確認による持続的禁煙率(carbon monoxide-confirmed continuous abstinence rate: CAR)とした。その他のアウトカムは、非治療観察期間のCARと、気分・不安評価(Montgomery–Åsberg Depression Rating Scale:MADRS)、自殺念慮・自殺行動とした。

結果:
 試験の結果、バレニクリン群の68.4%、プラセボ群の66.5%が試験を完遂した。9~12週におけるCARは、バレニクリン群がプラセボ群に比べ優位に高かった(35.9% vs. 15.6%;オッズ比3.35[95%信頼区間2.16~5.21]、P < 0.001)。9~24週(25.0% vs. 12.3%、オッズ比 2.53[95%信頼区間1.56~4.10]、P<0.001)、9~52週(20.3% vs. 10.4%、オッズ比2.36[95%信頼区間1.40~3.98]、P=0.001)においても同様の結果であった。
 両群間で自殺念慮・自殺行動に有意差はなく、両群ともうつ病や不安の全体的な増悪は観察されなかった。
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(文献より引用:ベースラインからのMADRS平均変化)

 最も多い副作用は嘔気だった(バレニクリン群 27.0%、プラセボ群 10.4%)。バレニクリン群の2人が非治療観察期間に死亡した。

limitations:
 この試験では一部のデータが不足しており、また稀なイベント差を検出するための検定力が乏しい。また未治療のうつ病患者、他の精神疾患を合併した患者、気分安定剤や抗精神病薬を内服中の患者は含まれていない。

結論:
 現在あるいは過去において、治療安定が得られている大うつ病患者に対し、バレニクリンは抑うつ症状や不安を増悪させることなく、禁煙率を向上させることができる。


by otowelt | 2013-10-15 00:16 | 呼吸器その他

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