フルオロキノロンを投与された糖尿病患者では重症血糖異常のリスクが増加

e0156318_1218325.jpg フルオロキノロンと血糖の話題です。

Hsu-Wen Chou, et al.
Risk of Severe Dysglycemia Among Diabetic Patients Receiving Levofloxacin, Ciprofloxacin, or Moxifloxacin in Taiwan
Clin Infect Dis. (2013) 57 (7): 971-980.


背景:
 これまでの観察研究や致死的な症例報告によって、フルオロキノロン投与と関連した重症血糖異常の安全性について議論が勃発した。この研究の目的は、異なる種類のフルオロキノロンを投与された糖尿病患者における重症血糖異常のリスクを評価することである。

方法:
 糖尿病患者のコホートを用いて2006年1月から2007年12月にかけて行われた試験である。外来で新たにレボフロキサシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、セファロスポリン、マクロライドの経口薬を処方された糖尿病患者を登録した。イベントは、抗菌薬投与開始30日以内の、血糖異常による救急外来受診あるいは入院とした。血糖の増減についてはICD-9-CMコード(処方歴)より抽出した。傾向スコアを用いて解析した。

結果:
 78433人の糖尿病患者が解析の対象となった。
 1000人あたりの高血糖の絶対リスクは、モキシフロキサシン6.9、マクロライド1.6だった。反対に、低血糖の絶対リスクはモキシフロキサシン10.0、マクロライド3.7だった。マクロライドと比較した際の高血糖の補正オッズ比と95%信頼区間は、レボフロキサシン1.75(1.12-2.73)、シプロフロキサシン1.87(1.20-2.93)、モキシフロキサシン2.48(1.50-4.12)だった。低血糖のオッズ比は、レボフロキサシン1.79(1.33-2.42)、シプロフロキサシン1.46(1.07-2.00)、モキシフロキサシン2.13(1.44-3.14)だった。
 モキシフロキサシンを投与された患者の低血糖リスクは、シプロフロキサシンを投与された患者と比較して有意に高かった。また、モキシフロキサシンにインスリンを併用された患者で、有意な低血糖リスクの増加が観察された(補正オッズ比 2.28、95%信頼区間1.22-4.24)。

結論:
 フルオロキノロンの経口薬を投与された糖尿病患者では、重症血糖異常のリスクが増加する。一方で、低血糖リスクはフルオロキノロンの種類によって異なり、モキシフロキサシンと最もよく関連がみられた。


by otowelt | 2013-10-24 00:40 | 感染症全般

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