HIV陽性/陰性カップルにおけるHIV感染パートナーへの早期の抗レトロウイルス療法の費用対効果

e0156318_9534571.jpg パートナーに対する早期ARTの社会医学的な観点の論文です。

Rochelle P. Walensky, et al.
Cost-Effectiveness of HIV Treatment as Prevention in Serodiscordant Couples
N Engl J Med 2013; 369:1715-1725


背景:
 HIV陽性/陰性カップルに対する、HIV感染パートナーへの早期の抗レトロウイルス療法の費用対効果はよくわかっていない。HIV感染進行コンピュータシミュレーションおよびHIV予防試験ネットワーク052試験のデータを使用して、当該感染パートナーに対する早期抗レトロウイルス療法の費用対効果を調べた。

方法:
 HIV陽性/陰性カップルに対して、南アフリカとインドにおいて抗レトロウイルス療法の早期開始と待期的開始を比較した。5年間および生涯にわたる評価項目として、累積HIV伝播率、生存期間、費用、費用対効果などが挙げられた。早期治療について、増加分の費用対効果比が年間1人あたり国内総生産(GDP)(南アフリカは8100ドル、インドは1500ドル)を下回ったときには費用対効果が非常に高いものと定義し、GDPの3倍を下回った場合には費用対効果が高いと定義し、待期的開始と比べて総費用が減少し生存期間が延長した場合には費用節約効果ありと定義した。

結果:
 南アフリカでは、早期の抗レトロウイルス療法は5年間は日和見疾患を予防することができ、費用節約効果がみられた。生涯では費用対効果が非常に高かった(生存期間延長1 年あたり590ドル)。インドでは、早期治療は5年間は費用対効果が高く(生存期間延長1年あたり1800ドル)、生涯では費用対効果が非常に高かった(生存期間延長 1年あたり530ドル)。
 南アフリカとインドの両方とも早期治療により短期間のHIV伝播を予防することができたが、生存期間が延長するとともにこの効果は減弱した。生存期間が延長した理由として、治療を受けた患者にもたらされる臨床的な利益が挙げられた。

結論:
 南アフリカにおける早期の抗レトロウイルス療法は5年間は費用節約効果が高く、南アフリカおよびインドでは、生涯の費用対効果が非常に高かった。HIV陽性/陰性カップルに対する早期抗レトロウイルス療法が支持される。



by otowelt | 2013-11-06 00:01 | 感染症全般

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