陽性悪性胸膜中皮腫におけるBAP1遺伝子変異の同定意義は明らかでない

e0156318_1742044.jpg これまでにたくさんの悪性胸膜中皮腫の患者さんを看取ってきました。呼吸器内科医を志した当初は、なぜ治療が効かないんだと苛立ちを覚える毎日でした。いつの日か悪性胸膜中皮腫の遺伝子治療が実現すれば……と心から願っています。

Zauderer, Marjorie G, et al.
Clinical Characteristics of Patients with Malignant Pleural Mesothelioma Harboring Somatic BAP1 Mutations
Journal of Thoracic Oncology:November 2013 - Volume 8 - Issue 11 - p 1430-1433


背景:
 近年の悪性胸膜中皮腫の遺伝子学的研究によって、BRCA関連タンパク1(BAP1)遺伝子変異が同定されている。BAP1は悪性黒色腫および明細胞癌においてアウトカム不良と関連しているが、悪性胸膜中皮腫における臨床的重要性については不明である。われわれは、悪性居膜中皮腫でBAP1遺伝子変異を有する患者の臨床的特徴を記載し、生存との関連性を調べた。

方法:
 われわれは1991年から2009年までの間、121人の悪性胸膜中皮腫の患者データを集めた(診断時年齢、性別、組織型、病期、喫煙歴、石綿曝露、癌家族歴、癌既往歴、外科治療情報、化学療法情報、放射線治療情報、生存期間)。

結果:
 121腫瘍のうち24(20%)でBAP1遺伝子変異がみられた。BAP1野生型の患者と比較すると、BAP1遺伝子変異のある患者では現喫煙あるいは既往喫煙者の頻度が多かった(42% vs. 75%、p = 0.006)。BAP1遺伝子変異の有無によって生存には差はみられなかった。組織型にも差はなかった(p =0.28)。

結論:
 BAP1遺伝子変異のある悪性胸膜中皮腫では明らかな臨床フェノタイプを同定できなかった。さらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2013-11-19 00:41 | 肺癌・その他腫瘍

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