気胸にどのくらいの太さのドレーンを入れるべきか

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・はじめに
 私は研修医や看護学校でも時折教鞭をとっているので、どこかのお医者さんが作った看護学校の問題を試験問題の作成の際、参考にさせていただくことがあります。いつだったか、こんな問題を見かけたことがあります。

自然気胸に対して胸腔ドレーンを留置する場合、適切なドレーンの径はどれか?
 a) 12Fr b) 16Fr c) 20Fr d) 24Fr e) 28Fr

 呼吸器専門医の間でも意見が分かれる問題だと思います。いまだに正解のない世界です。


・太いドレーンの方がよいのか?
 ―――ドレーンの単位であるフレンチ(Fr)は3Fr=外周1mmという計算式が成り立つそうです。そもそもフレンチサイズはドレーンの外周をmmで表したものです。円周=2πrですから、ドレーンの外周=ドレーン外径×3.14(π)です。そのため、24Frはπで割って外径約8 mmという計算になるわけです(厳密には7.6mmですが)。
膿胸などの感染性の胸水に対してはフィブリンや膿がドレーン孔を閉塞しないように太いドレーンを入れた方がよいと言われています。細径でもアウトカムを変えずにむしろ疼痛を少なく管理することができるという報告もありますが(Chest. 2010 Mar;137(3):536-43.)、膿胸に対して10Fr未満のドレーンを入れてうまく管理できた記憶がありません。16Frでも細すぎるくらいで、最低でも20Fr、できれば24Frが推奨する外科医が多いと思います。

 気胸の場合、COPDや肺の構造改変がある患者さんでは太めの胸腔ドレーンを入れた方がよいと言われています。その理由は、細径の場合に局所的なベルヌーイの定理(のようなもの)がはたらくからではないかと考えられています。

 太いドレーンであるほど、ドレナージ効果やアウトカムの確実性は上がると思いますが、反面疼痛という合併症は強くなります。細いドレーンで成功することを目指すことは患者さんにとって本当に良いことなのか、いまだに分かっていません。


・MDQAで質問
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 MDQA(http://www.mdqa.jp/)において、現場で働く医師に対して質問させていただいたところ、以下のような回答が得られました。内容は、一部編集・省略しています。

 私は細径までは使用しませんが、気胸に関しては16Fr以下の細めのチューブを推奨しています。空気は胸水と異なり、適切に胸腔に挿入したら太い径は必要ないと考えております。太いチューブは若い男性は疼痛にも弱い傾向があり患者さんにも負担をかけると思います。緊張性気胸は時間が勝負なので診断したらサーフロー針で患側の前胸部から脱気をまずしてそれから細めのチューブを適切に入れる方針でよいと考えています。緊張性気胸だから太いチューブを入れる必要はなく、適切な挿入がやはりポイントと思います。また、アスピレーションキットは細いですが逆にこしが無い分、肺を刺すリスクもあり積極的には使用しておりません。


by otowelt | 2013-11-15 14:39 | 呼吸器その他

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