喀痰の抗酸菌塗抹が陽性の場合、どの時点で結核病棟を有する病院に相談すべきか

e0156318_10415347.jpg・はじめに
 喀痰の抗酸菌塗抹が陽性の場合、肺結核か非結核性抗酸菌症(NTM)のいずれかと考えられます。特に肺内に空洞性病変がある場合などでは排菌量が多いため、PCRを待たずに肺結核として対処することが一般的です。一方で、中年女性のいわゆる“中葉舌区症候群”の画像所見の場合、NTMの可能性が高いため、PCRの結果が出るまで自宅安静とする選択肢もあります。

 法的にはどの時点で結核として対処すべきかという明確な線引きがないため、喀痰の抗酸菌塗抹が陽性になった時点からPCRが判明するまでのグレーゾーンの期間、どう対処すればよいのかという明解がありません。

 肺結核かNTMか判然としない場合、個室があればそちらに移ってもらうのがベターですが、満床であり個室の確保ができないケースもあるでしょう。そのため、病院によってもルールが定まっていない現状があります。

・MDQAで質問
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 MDQA(http://www.mdqa.jp/)において、現場で働く医師に対して質問させていただいたところ、以下のような回答が得られました。内容は、一部編集・省略しています。

 確かに画像診断で全てが鑑別は出来ないと私も思います。患者背景、喫煙歴、臨床経過など色々なものを加味しての判断になります。画像でいわゆる肺結核の好発部位である上・下葉の高い部分に病巣がある場合や栄養状態などから可能性が極めて高い場合にはPCRを待たずにご紹介します。逆に非喫煙者、MACの好発部位である中葉・舌区に病変が気管支拡張性変化も伴ってある場合にはPCRを待つことが多いです。
 悩ましいのは高齢者で本人が訴える事が出来ない患者さんで救急室で提出した喀痰が塗抹陽性で胸部CTでも典型的な肺結核やMACの画像所見もない場合です。気管支結核は中年までの女性や石灰化リンパ節腫脹を伴う事が多いので、ある程度疫学的に鑑別しています。従って関連する症状に乏しい高齢者で塗抹陽性の場合には念のため、個室隔離にして3回喀痰を提出してPCRの結果まで待っての対応にしています。



by otowelt | 2013-11-23 00:52 | 抗酸菌感染症

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