LAMに対してドキシサイクリンは無効

e0156318_1602186.jpg 過去にリンパ脈管筋腫症(LAM)に対してドキシサイクリンが有効であるという66歳の女性の症例報告がNEJMに掲載されました(N Engl J Med. 2006 Jun 15;354(24):2621-2.)。
 これを多数の患者で検討したものがこのERJの論文です。

William YC Chang, et al.
A two year randomised placebo controlled trial of doxycycline for lymphangioleiomyomatosis
ERJ December 5, 2013 erj01674-2013


背景:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)は、肺の嚢胞と気流制限に特徴付けられる呼吸器疾患である。マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)は、LAM患者の肺の破壊に関与しているとされている。われわれは、LAM患者においてMMPを阻害するドキシサイクリンとプラセボを比較したランダム化二重盲検試験を行った。

方法:
 2009年5月から2年間の間にイギリスの149人のLAM患者が同定され、そのうち23人のLAMの女性がランダムにドキシサイクリン1日100mg3ヶ月→1日200mg21ヶ月あるいはプラセボのいずれかに割り付けられた。呼吸機能検査、運動耐容能、QOL、MMP値が調べられた。

結果:
 登録されたLAM患者の平均年齢は46歳で、症状は平均13.5年続いていた。18人(78%)の患者は過去に気胸の既往歴があり、13人(56%)は血管筋脂肪腫を有していた。3分の1の患者は閉経後であった。1人は結節性硬化症複合体であり、残りは孤発性のLAMだった。23人の患者のうち21人は血清VEGF-D値が800pg/mLより高値であった。
 21人の患者が6ヶ月の治療を完遂し、17人が1年、15人が2年の治療を完遂した。4人は気胸による脱落、その他にも様々な理由により脱落した4人がいた。
 プライマリエンドポイントである一秒量の平均減少は、両群とも差はみられなかった(プラセボ:−90±154mL/年 vs ドキシサイクリン:−123±246mL/年、差−32.5, 95%信頼区間−213~148, p=0.35)。
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(文献より引用)

 また、ドキサイクリンは肺活量、ガス交換能、シャトルウォーキング距離、QOLには影響を与えなかった。尿中MMP-9値はドキシサクリン群で有意に低かった(p=0.03)。

結論:
 限られた患者数であったため、われわれはドキシサイクリンの効果を完全に否定することはできなかったが、いずれのアウトカムにも効果がはっきりとしなかったことからドキシサイクリンはLAMに有効な効果を持っているとは言いがたいだろう。


by otowelt | 2013-12-20 00:26 | びまん性肺疾患

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