運転中の携帯電話の使用は交通事故のもと

運転中の携帯電話の使用は交通事故のもと_e0156318_1154946.jpg 警察24時系の番組では携帯電話の使用による高速道路の事故などが取り上げられていますね。

Sheila G. Klauer, et al.
Distracted Driving and Risk of Road Crashes among Novice and Experienced Drivers
N Engl J Med 2014; 370:54-59


背景:
 二次的な作業によって注意が散漫するよそ見運転は、10代~成人の運転者いずれにおいても自動車事故の主たる原因とされている。

方法:
 携帯電話の使用などの二次的な作業が、自動車事故および事故未遂のリスクと関連しているかどうか検証する2試験を行った。客観的に評価を行うため、加速度計、ビデオカメラ、GPSセンサー、その他のセンサーを免許を取得したばかりの運転者42人(16.3~17.0 歳)と、運転経験が豊富な成人109人の自動車に設置した。

結果:
 当該試験期間中に、自動車事故および事故未遂は免許を取得したばかりの運転者で167件、熟練した運転者で518件同定された。初心者では、携帯電話をかける場合(オッズ比8.32、95%信頼区間2.83~24.42)、携帯電話を取ろうとした場合(オッズ比7.05、95%信頼区間2.64~18.83)、携帯電話でメールなどのテキストメッセージを送受信する場合(オッズ比3.87、95%信頼区間1.62~9.25)、携帯電話以外の物を取ろうとする場合(オッズ比8.00、95%信頼区間3.67~17.50)、車外の道路脇の物を見る場合(オッズ比3.90、95%信頼区間1.72~8.81)、何かを食べている場合(オッズ比2.99、95%信頼区間1.30~6.91)に自動車事故および事故未遂のリスクが有意に上昇した。熟練した運転者では、携帯電話をかける行為が自動車事故および事故未遂のリスクの有意な上昇と関連していた(オッズ比2.49、95%信頼区間1.38~4.54)。

結論:
 運転免許を取得したばかりの運転者における自動車事故および事故未遂のリスクは、携帯電話をかけたりメールをするといった二次的な作業によって上昇した。


by otowelt | 2014-01-06 00:53 | 救急

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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