進行非小細胞肺癌におけるKRAS遺伝子変異は化学療法の抵抗性を予測するか?

e0156318_94973.jpg 肺癌領域におけるKRAS遺伝子変異と予後の関連性については既知の通りですが、ファーストラインの化学療法後の反応性に焦点を当てた報告です。

M. Macerelli, et al.
Does KRAS mutational status predict chemoresistance in advanced non-small cell lung cancer (NSCLC)?
Lung Cancer, published online 17 January 2014.


背景:
 進行非小細胞肺癌(NSCLC)におけるKRAS遺伝子変異ステータスの臨床的意義は明らかではない。このポイントを解明すべく、われわれはレトロスペクティブにKRAS遺伝子変異が腫瘍への反応性、ファーストライン白金製剤ベース化学療法の疾患制御率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)に影響を与えうるのか調べた。

方法
 2009年6月から2012年6月までの間、340人の進行(病期IIIB/IV)NSCLC患者が単施設(フランスのInstitut Gustave Roussy)が同定された。そのうち201人の患者がバイオマーカープロファイルを測定され、白金製剤ベースのファーストライン化学療法を受けた。遺伝子変異ステータスが不明・不正例に関しては除外した。われわれは患者を2群に分類した。すなわち、KRAS遺伝子変異の腫瘍(MUT)を有する患者および、KRAS/EGFR野生型(WT)の患者である。解析にはCoxモデルによる多変量解析を用いた。生存曲線はKaplan-Meier法によって計算した。

結果:
 108人の患者が解析に組み込まれた。そのうち39人がMUT群、69人がWT群であった。ベースラインの放射線学的アセスメントでは、MUT患者の方がより脳転移が多く(P=0.01)、肝転移が多かった(P=0.04)。ファーストラインの化学療法の内容(ペメトレキセドの使用有無など)を加味せずに計算すると、DCRはMUTで76%、WTで91%だった(P=0.03)。統計学的に有意ではなかったものの、単変量解析においてPFS(4.9 vs. 6.0ヶ月; P=0.79)、OS(10.3 vs. 13.2ヶ月; P=0.40)はKRAS遺伝子変異の患者で短縮する傾向にあった。

結論:
 KRAS遺伝子変異のある腫瘍は、ファーストラインの白金製剤ベース化学療法後のDCRが低かったが、PFSやOSに対する有意な差をもたらすものではなかった。また、KRAS遺伝子変異がある腫瘍は、脳転移や肝転移をきたしやすい活動性の高い疾患と言える。


by otowelt | 2014-03-12 00:31 | 肺癌・その他腫瘍

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