COPD患者に対する吸入ステロイド薬の使用は結核のリスクを上昇

e0156318_2392879.jpg 吸入ステロイド薬の恩恵とリスクのバランスの難しさを提唱したメタアナリシスです。

Yaa-Hui Dong, et al.
Use of Inhaled Corticosteroids in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease and the Risk of Tuberculosis and Influenza: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2137


背景:
 吸入ステロイド薬(ICS)の使用は、COPD患者における肺炎のリスク上昇と関連している。しかしながら、結核やインフルエンザといった他の呼吸器感染症のリスクについては不透明である。

方法:
 2003年7月以降のMEDLINE、EMBASE、CINAHL、Cochrane Liberary、CinicalTrial.govの文献より、COPD患者(重症度は問わない)に対してICSを少なくとも6ヶ月継続したランダム化比較試験を抽出した。われわれはMantel-Haenszel法、Peto法、Bayesian法によるメタアナリシスを施行し、非ICS治療と比較したICS治療の結核およびインフルエンザへのリスクを算出した。

結果:
 結核に関する25の研究(22898人)、インフルエンザに関する26の研究(23616人)が適格基準を満たした。非ICS治療と比較して、ICS治療は結核のリスクを有意に上昇させた(Petoオッズ比2.29; 95%信頼区間1.04-5.03、I2=0.4%)が、インフルエンザのリスクは上昇させなかった(Petoオッズ比1.24; 95%信頼区間0.94-1.63、I2=14.3%)。これはTORCH試験のインフルエンザのリスク上昇とは少し異なる結果であった(Petoオッズ比7.37; 95%信頼区間1.49-36.55)。これらの結果はいずれのメタアナリシス手法によっても同等であった。
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(文献より引用)

 ただし、フルチカゾンは結核およびインフルエンザのいずれにおいてもPeto法で有意なリスク上昇がみられた(オッズ比2.50; 95%信頼区間1.12-5.79、オッズ比1.60;95%信頼区間1.05-2.45)。
 結核1例を起こすNNH (Number Needed to Harm)は、結核の蔓延地域の方が非蔓延地域よりも低かった(909 vs. 1667)。

結論:
 アジアやアフリカといった結核蔓延地域においては、COPD患者に対するICSの使用は結核のリスクをおよそ2倍に上昇させる。インフルエンザについては統計学的に有意ではなかったが、リスク上昇の懸念は払拭できない。われわれの研究は、COPD患者におけるICSの使用が結核やインフルエンザのリスクについて安全性の懸念を提示するものである。


by otowelt | 2014-02-19 00:40 | 気管支喘息・COPD

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