業者からの税金対策の勧誘電話について

e0156318_1191342.jpg●はじめに
 先週だったでしょうか、患者さんの病状説明が終わった後にPHSが鳴りました。

事務員さん:「大阪総合病院の消化器科の田中先生からお電話です。」

 大阪総合病院なんてあったかな?と首をかしげましたが、とにかく自分の紹介した患者さんのことかもしれないので、電話を受けました。そして受話器の向こうから聞こえた田中先生の声は、いやにテンションが高かったのです。

男性の声:「どうもーっ!こんにちはっ!」

 医師同士の電話で、ここまで明るい先生は経験したことがないのですが、とりあえず話を続けることにしました。

男性の声:「先生、いま、ちょこーっとだけ時間よろしいですかっ?」

:「はい、どうぞ。」

男性の声:「先生は、税金対策とかってどうお考えですかっ!?」

 男性の声を聞いた時に予想はしていたのですが、お決まりのフレーズが受話器の向こうから聞こえてきました。

:「失礼ですが、大阪総合病院の田中先生でいらっしゃいますか?」

男性の声:「いやー、いつもお世話になってますーっ!それでですね、本題に入らせていただきたいのですがーっ」

 田中先生ではないことが確実になったので、私は無言で受話器を切りました。


●不動産投資による税金対策
 医師であればこういった電話を受け取ったことは一度や二度ではないと思います。私も過去に何度もこういった電話をもらったことがあります。医師の名前を騙って電話をかけてくるような悪質なケースについては、話が長引くとやっかいなので無言で電話を切るようにしています。というのも、不動産投資をすすめてくる業者さんもあの手この手で通話時間を長くしてくる傾向にあるからです。一説によれば通話時間によってアルバイト代が歩合制になっている業者もあるとか・・・。

 さて、不動産投資による税金対策とは本当に妥当なのでしょうか。なお、業者がしつこく勧誘してくる不動産投資のことを区分マンション投資と言います。

1. 相続税
 現金ではなく不動産を相続したほうが、相続税評価額が下がるため節税になることは確かです。現在の税制上の評価としては、不動産はよほどの場合を除けば売買価格を下回ることが知られています。また不動産を法人で所有することで、相続税をゼロにすることも可能です。

 ただし、相続する不動産の価値自体が経年的になくなってしまっていたら、相続税対策としての不動産投資の意味はなくなると思います。


2.所得税と住民税
 不動産所得の赤字を損益通算して、給与所得を減らすことで節税するということです。節税の考え方としては正しいと思います。不動産購入時は初期費用が膨大ですから、減価償却も合わせると購入初年度は不動産所得が大幅な赤字になります。しかし、投資用の新築ワンルームマンション(区分マンション)には不動産業者の利益がかなり上乗せされていますので、検討する価値はないと考えていいでしょう。また購入翌年から利益が出てしまえば、収める税金が増えますので、節税だ節税だと謳う割にはその効果は短期的になってしまうリスクも考慮しなければなりません。また、新築なんて5年経ってしまえば中古物件に早変わりします。同じ家賃を維持することの難しさ、修繕費などの増加を考えると区分マンション投資は簡単に手が出せるものではないと思います。「マンション投資の真髄は、中古物件にあり」なんて言葉もありますね。

 不動産投資で本当に節税となる条件は、給与所得がべらぼうに多いこと(課税所得1800万円以上など)、投資規模が大きいことが条件になると思います。通常の勤務医であれば厳しいはずです。ただし、実際に不動産投資に手を出して成功している勤務医も知っていますので、一概に眉唾物と切り捨てるものではないことをご留意下さい。

 ただし、公務員の方々が不動産投資を行う場合、各職場の副業規定に照らし合わせることをおすすめします(条件付きで可能なケースが多いです:棟数・部屋数の規制)。


●悪質な電話は法律に抵触しないか
 国土交通省が公開している宅地建物取引業法において、宅地建物取引業者に対する勧誘について以下の行為が禁止されています。

〔1〕不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為(法第47条の2第1項)
〔2〕威迫する行為(法第47条の2第2項)
〔3〕私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させる行為(法施行規則第16条の12第1号のヘ)
〔4〕勧誘に先立って宅地建物取引業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行う行為(法施行規則第16条の12第1号のハ)
〔5〕相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続する行為(法施行規則第16条の12第1号の二)
〔6〕迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問する行為(法施行規則第16条の12第1号のホ)

 そのため、あまりに悪質なケースについては、具体的な状況や様子(日時、勧誘してきた会社情報[正確な会社名、会社所在地など]、担当者名、具体的なやり取り)を記録するなどして、免許行政庁まで報告してもよいと考えられます。

 そのため、「宅建法違反と思いますが、通報してもよいでしょうか」という毅然とした態度で臨めば、同じ業者から電話がかかってくることはなくなるかもしれません。


●結論
 私の出した結論は、以下の通りです。

 不動産投資は節税対策になりうる。ただし、業者からの勧誘の主体である区分マンション投資には投資する意義はほぼない。

 なお、私は一切の不動産投資をしていないことを付け加えておきます。

by otowelt | 2014-03-01 10:02 | その他

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