Wikipediaから引用している論文が増えている

e0156318_16232230.jpg 連載やエッセイにWikipediaを引用することはありますが、さすがに論文で引用しようと思ったことは一度もありません。書く人も問題ですが、そのほかの共著者がスルーしているということの方がおかしいのかもしれません。

M Dylan Bould, et al.
References that anyone can edit: review of Wikipedia citations in peer reviewed health science literature
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g1585


目的:
 健康科学雑誌におけるWikipediaを引用にした頻度を評価、Wikipediaを引用した文献ジャーナルを同定、Wikipeidaの引用状況を明らかにするこために、調査を行うこと。

デザイン:
 計量書誌学的分析

研究選定:
 英語文献でWikipediaの引用を含むもの。

データ元:
 当該健康科学ジャーナルを同定するため、Ullrichデータベースを用いて、Medline、PubMed、Embaseのインデックス化ジャーナルから選定した。すべてのジャーナルを収集するため、トムソンライタージャーナル引用報告(2011年インパクトファクター)を用いた。

データ抽出:
 テーマ別にコード化し、記述的統計によって算出。

結果:
 1008のジャーナルから合計1433のフルテキストを評価した。Wikipediaの引用頻度は経時的に増加しており、その多くが2010年12月以降であった。
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 Wikipedia引用の半数以上が、その言葉の定義 (n=648; 31.6%)として引用され、そのほかにもプロセス・システム・イベントの記述(n=482; 23.5%)、歴史的記述(n=277;13.5%)として引用されていた。

定義の例:Caregiver is an internationally accepted term for unpaid people who are caring for someone requiring support due to a disability, frailty, mental health problem, learning disability or old age (Wikipedia)
プロセス・システム・イベント記述の例:The key component of clinical audit is that performance is reviewed (or audited) to ensure that what should be done is being done, and if not, it provides a framework to enable improvements to be made (Wikipedia)
歴史的記述の例:In 1984 a beautiful 18-year-old coed, Libby Zion, died in a New York City hospital after being improperly treated by sleep-deprived residents (Wikipedia)

 こういったWikipediaからの引用は、インパクトファクターが低いジャーナルに限らず、高いインパクトファクターを持つ主要ジャーナルにおいても観察された。

結論:
 永続的でエビデンスに基づいた情報源を利用できるのにもかかわらず、第三者なら誰でも編集できる三次情報ソースからの情報を引用する文献が多く存在する。Wikipediaから引用した記事を出版する場合には、エディターやレビュアーがこれに注意を払うべきである。


by otowelt | 2014-03-08 00:16 | その他

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