リピトール®は気管支拡張症の咳嗽を減少

e0156318_23255314.jpg 気管支拡張症に対するアトルバスタチン(リピトール®)の論文です。別に疑っているわけではないのですが、スタチンが持つ多面的作用とは本当にそこまで臨床的に差を感じるほどのものなのでしょうか。

Pallavi Mandal, et al.
Atorvastatin as a stable treatment in bronchiectasis: a randomised controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 24 March 2014


背景:
 気管支拡張症は慢性咳嗽、喀痰、再発性の胸部感染症によって特徴づけられる疾患である。病因についてはよく分かっていないが、過剰な好中球性気道炎症が存在することが示唆されている。これまでの研究によりスタチンは多面的な効果を持ち、それゆえに気管支拡張症の潜在的な抗炎症治療選択肢になるうるかもしれない。われわれは、アトルバスタチンが気管支拡張症患者の咳嗽を減らすことができるかどうかの概念実証のランダム化比較試験を実施した。

方法:
 イギリスのエディンバラにあるクリニックに紹介された18~79歳の患者が対象となった。参加者は臨床的に有意な(咳嗽、喀痰)気管支拡張症が胸部CTで同定されており、前年に2回以上の胸部感染症を起こしている者とした。登録患者はランダムに高用量アトルバスタチン(80mg)あるいはプラセボにランダムに割り付けられた(1日1回6ヶ月間)。ランダム化はブロックランダム化。プライマリエンドポイントはベースラインから6ヶ月までの咳嗽の減少(LCQスコアで測定)とした。LCQスコア:臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical important difference, MCID)は1.3点。

結果:
 82人の患者がスクリーニングされ、22人がランダム化前に除外された。30人がアトルバスタチン、30人がプラセボに割り付けられた。ベースラインから6ヶ月までの平均LCQスコアの変化はアトルバスタチン群で1.5点、プラセボ群でー0.7点だった(平均差2.2点、95%信頼区間0.5-3.9、p=0·01)。アトルバスタチン群の30人のうち12人(40%)がLCQスコア1.3点以上改善がみられ、プラセボ群の30人のうち5人(17%)が同様の改善をみた(差23%, 95%信頼区間1—45; p=0·04)。アトルバスタチン群の10人(33%)、プラセボ群の3人(10%)に副作用がみられた(差23%, 95%信頼区間3—43; p=0·02)。重篤な副作用は観察されなかった。

結論:
 気管支拡張症における6ヶ月のアトルバスタチンはQOLスケールに基づく咳嗽症状を改善させた。多施設共同試験によってスタチンの長期投与が急性増悪を減らすことができるのか調べる必要があるだろう。


by otowelt | 2014-04-10 00:53 | 呼吸器その他

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