喫煙者に対するACE阻害薬はCOPD発症を予防できる?

e0156318_1151268.jpg ACE阻害薬の呼吸器系に対するメリットは過去にも報告されております(Ann Pharmacother. 2002 ; 36(6): 1058-1067.、Clin Sci (Lond). 2012 ; 123 (8): 487-498.)。ACE阻害薬は結果的にNOを増加させるので肺うっ血を予防する効果がありますが、COPDに対して本当に根本から良好な効果をもたらすというよりも、表面的な部分だけを改善させているように見せている可能性は否定できません。ただ、もしACE阻害薬の使用がCOPDの死亡率を下げるとわかれば、インパクトは大きいでしょうね。

Hans Petersen, et al.
Rapid Lung Function Decline in Smokers Is a Risk Factor for COPD and Is Attenuated by Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor Use
CHEST 2014; 145(4):695–703


目的:
 アメリカにおいて喫煙はCOPDの最も重要なリスク因子である。喫煙者の1秒量の急速な減少に影響する宿主要因や、COPD発症リスクをどのように軽減できるかについては不明である。この研究は既往喫煙者における1秒量の減少について調べたものであり、急速に減少するパターンとそれ以外でCOPDの発症リスクを比較し、またある種の薬剤がこの現象に影響を及ぼすかどうかを検証した。

方法:
 ベースラインの呼吸機能検査で異常がみられなかった809人を含む、合計1170人の既往喫煙者がLovelace Smokers Cohortに登録され、複数回の呼吸機能検査を実施した。少なくとも3年(平均5.9年)のフォローアップ期間を設定した。気管支拡張薬投与後の1秒量を経時的にみた絶対的減少を以下の3群に分けた。すなわち、急速な減少(1年あたり30mL以上)、正常(1年あたり0~29.9mL)、減少なしの3群である。ロジスティック回帰およびKaplan-Meier生存曲線が解析に用いられた。

結果:
 既往喫煙者のおよそ32%に急速な減少が観察された。ベースラインで異常がみられなかった既往喫煙者において、急速な減少はCOPDの発症リスクを上昇させた(オッズ比1.88; P = .003)。ベースラインでACE阻害薬を使用していた場合、これは急速な減少に対して保護的に作用した。保護作用は心血管系疾患、高血圧、糖尿病を合併している患者では有意であった(オッズ比はそれぞれ0.48, 0.48, 0.12:P ≤ .02 for all analyses)。
e0156318_11303478.jpg
(文献より引用)

結論:
 既往喫煙者における1秒量の急速な減少はCOPD発症の高リスクである。喫煙者におけるACE阻害薬の使用は呼吸機能の急速な減少とCOPDへの進展に対して保護的に作用するかもしれない。


by otowelt | 2014-04-16 00:01 | 気管支喘息・COPD

<< 重症進行性非IPF間質性肺疾患... 肉の食べすぎは呼吸機能の悪化を招く >>