新生児の気胸に対して100%酸素投与は必要か?

e0156318_2210417.jpg 新生児のスタディですが、呼吸器内科医として知っておきたい話です。われわれ成人はともかくとして、赤ちゃんに対する酸素というのはナーバスになった方がよいとされています。新生児では網膜症との関連性が国家試験レベルの話として知られていますね。
 成人の分野では、「Oxygen is better.」「90% is good, 89% is not good.」の信奉が強いです。もちろんSpO2 80%台が長くことはよくありませんが、日本の医療現場では89%と90%の間に絶対的な差が存在するように感じます。これは10進法のパワーでしょうね。

Clark SD, et al.
Administration of 100% oxygen does not hasten resolution of symptomatic spontaneous pneumothorax in neonates.
J Perinatol. 2014 Apr 3. doi: 10.1038/jp.2014.55.


目的:
 新生児における有症状の軽度~中等度の自然気胸に対する100%酸素投与とパルスオキシメーターを指標として酸素投与の効果を比較すること。総じて新生児学における自然気胸には100%酸素治療が用いられていることが多いが、その効果に対するエビデンスは乏しい。

デザイン:
 83例の自然気胸に対するレトロスペクティブチャートレビュー。新生児は35週未満とし、胸腔ドレナージや人工呼吸を要する症例は除外した。

結果:
 気胸を発症した45人の新生児が登録された。在胎月齢、出生体重、Apgarスコア、性別、人種、気胸サイズやその部位などに差はみられなかった。100%酸素投与を受けた群は、有意に酸素投与期間や(21.3 vs 8 h, P<0.001)静脈内点滴投与期間が長く(48.6±29.9 vs 31.3± 18.8 h, P=0.03)、通常の哺乳にいたるまでの時間の延長(44.1±25.7 vs 29.5±18.8 h, P=0.03)が観察された。初回の哺乳、多呼吸の改善までの期間、在院日数に差はみられなかった。

結論:
 新生児の気胸に対する100%酸素投与がパルスオキシメーターを指標とした酸素投与に勝る点はなかった。実際のところ、不必要な酸素治療が長引くことで新生児に害を与えるかもしれない。


by otowelt | 2014-05-08 00:49 | 呼吸器その他

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