医学論文嫌いを治そう その1

・はじめに
 若手医師、特に研修医にとって医学論文が恐怖そのものだと言う人は少なくありません。これは抄読会という魔の行事の順番が研修医に当てられるためです。上級医からは「医学論文を読め」と言わ続け、しぶしぶ読んでいくうちに医学論文が大嫌いになってしまった人は数知れず。今でも、数ページにわたる英語の羅列を目の当たりにすると、めまいが・・・なんて人もいるでしょう。


・医学雑誌は娯楽雑誌の1つである
 以前にもどこかのコラムで書いたと思いますが、医学論文を掲載している医学雑誌は娯楽雑誌です。マンガが好きな人が読む週刊少年ジャンプ、ファッションが好きな人が読むCanCamと基本的には同じです。
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 そう、医学を趣味とする人が読む、ただの雑誌であるはずなのです。そのため、決して強制されて読むものではないと私は考えています。

 研修医を抄読会に参加させることで医学論文の価値を教育するということは重要かもしれませんが、医学論文を読みたくないと思っている研修医を強制的に抄読会に参加させることは、医学論文を読む原動力の萌出を踏みにじることになりかねません。そのため、医学論文に興味のない研修医に対しては医学論文がいかに面白いかを教育する方がまだマシです。

 基礎研究に興味のない人間にいきなり電気泳動の実験を強制しても余計に基礎研究が嫌いになるだけです。


・他の娯楽雑誌との違い
 医学雑誌が他の娯楽雑誌と異なる点は、「頭を使う」という点に尽きると思います。まず英語で書かれているので、英語を理解できるだけのインテリジェンスが必要になります。そして、書かれている内容を理解するだけの最低限の医学的知識が必要になります。ファッション雑誌であるCanCamも最低限の日本語知識とファッション知識が必要になりますが、書かれている内容はあくまで読者を楽しませるためのアトラクティブな内容であり、医学雑誌のように医学的知見を淡々と掲載するものとは性質を異にします。私も、少年ジャンプとNew England Journal of Medicineの雑誌が2つ目の前に置いてあったら、迷わず少年ジャンプを手に取って、『ONE PIECE』を読み始めるでしょう。気楽に読めるという点ではやはりアトラクティブに構成した娯楽色の濃い雑誌の方がよいわけです。

 ただ、医学雑誌を読む人間というのは医学に興味があって医師を志した人間がほとんどですので、医学論文を娯楽雑誌たらしめるだけの素地はあるのです。

 ではどのように医学論文を娯楽雑誌のように感じることができるのでしょうか。次回お話してみたいと思います。


by otowelt | 2014-05-04 00:44 | レクチャー

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