ATS2014:IPFに対するピルフェニドンの効果予測にCCL-18が有用

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A38
F. Bonella, et al.
Serum CCL-18 May Predict The Short-Term Response To Pirfenidone In Idiopathic Pulmonary Fibrosis
[Publication Number: A1421]


背景:
 ピルフェニドンは特発性肺線維症(IPF)に対する治療薬であり、努力性肺活量の減少を抑制する効果があるとされている。これまでの研究で、血清CCL-18は間質性肺疾患に有用なバイオマーカーであり、努力性肺活量やDLCOの変化、IPFの生存期間と相関していることが知られている。この研究において、血清CCL-18がピルフェニドンの効果を予測することができるか検証した。

患者および方法:
 ピルフェニドンで治療された70人のIPF患者を2008年から2013年まで抽出した。CCL-18はELISAによって測定された。血清LDHも比較対照のバイオマーカーとして採取した。CCL-18と呼吸機能検査の変化を6ヶ月目、12ヶ月目に評価した。努力性肺活量が予測値で5%以上、DLCOが予測値で10%以上減少しないこと、症状の悪化がないこと、新しい放射線学的所見が出現しないことを“反応あり(responder)”と定義した。

結果:
 ピルフェニドンの平均内服期間は12.5ヶ月であった。6ヶ月未満の内服期間であった患者は本研究から除外した。血清CCL-18のベースライン平均値は127±82 ng/mlであった。ベースラインのCCL-18と努力性肺活量あるいはDLCOには関連性はみられなかった。12ヶ月時点におけるCCL-18と努力性肺活量の減少には関連性がみられた(r=0.67, p=0.042)が、6ヶ月時点では有意ではなかった。
 ベースラインにおけるCCL-18のカットオフ値を136 ng/mlとすると、血清CCL-18は6ヶ月時点でのピルフェニドンに対する非反応性(nonresponder)を感度75%、特異度70%で予測できた(p=0.04)。また、カットオフ値を167 ng/mlに設定すると、12ヶ月時点でのピルフェニドンに対する非反応性(nonresponder)を感度80%、特異度87.5%で予測できた(p= 0.002)。ロジスティック回帰分析によれば、血清CCL-18の両カットオオフ値は6ヶ月および12ヶ月時点での反応性を年齢、性別、ベースラインの努力性肺活量、CLDO、PaO2とは独立して予測することができた(オッズ比4.8, p=0.001、オッズ比14, p=0.011)。加えて、CCL-18は生存期間と相関がみられたがLDHにはみられなかった(long rank p=0.036)。

結論:
 血清CCL-18はIPF患者のピルフェニドンに対する反応性を予測する独立したバイオマーカーと考えられる。


by otowelt | 2014-05-18 20:53 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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