ATS2014:INPULSIS試験:ニンテダニブはIPF患者において努力性肺活量の減少を有意に抑制

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 サンディエゴで報告されたIPFに対するニンテダニブの結果についてはNEJMにも大々的に発表されました。

L. Richeldi, et al.
Efficacy And Safety Of Nintedanib In Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Results Of Two 52-Week, Phase III, Randomized, Placebo-Controlled Trials (INPULSIS™)
[Publication Page: A6603]


Efficacy and Safety of Nintedanib in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
DOI: 10.1056/NEJMoa1402584


背景:
 ニンテダニブはチロシンキナーゼ阻害薬であり、VEGFR、PDGFR、FGFRに特異的に作用し、特発性肺線維症(IPF)の治療薬として期待されている。第II相試験であるTOMORROW試験に引き続き、第III相試験である多国共同ランダム化プラセボ対照並行群間試験であるINPULSIS1試験およびINPULSIS2試験によってニンテダニブの安全性と効果を検証した。

方法:
 40歳以上でランダム化から5年以内にIPFと診断され、胸部HRCTをスクリーニングの12ヶ月以内に受けた患者を24か国から登録した。患者は努力性肺活量50%以上、DLCOが予測値の30~79%とした。患者は3:2の割合でニンテダニブ150mg1日2回あるいはプラセボに52週にわたって割り付けられた。プライマリエンドポイントは1年の努力性肺活量変化(mL/年)とした。セカンダリエンドポイントはベースラインから52週までSGRQスコアの変化および初回の急性増悪までの期間とした。

結果:
 INPULSIS-1試験では513人、INPULSIS-2試験では548人が登録された。ベースラインの患者特性は両治療群に差はみられなかった。
 プライマリエンドポイントである1年の努力性肺活量変化は有意にニンテダニブ群で減少がみられた。 INPULSIS-1試験:-114.7 vs. -239.9 mL/年(95%信頼区間77.7-172.8)、INPULSIS-2試験:-113.6 vs. -207.3 mL/年(95%信頼区間44.8-142.7)。
 セカンダリエンドポイントについてはINPULSIS-2試験で有意なSGRQスコアの減少、急性増悪のリスクの減少がみられた。ただし、INPULSIS-1試験においてはセカンダリエンドポイントは達成されなかった。
 努力性肺活量の絶対値の減少が5%以内であった患者の割合についてもニンテダニブはプラセボよりも多かった(INPULSIS-1: 52.8% vs. 38.2%, オッズ比1.85、95%信頼区間1.28-2.66 、INPULSIS-2: 53.2% vs. 39.3%, オッズ比1.79、95%信頼区間1.26-2.55 )。
 もっともよくみられたニンテダニブの有害事象は下痢であり、INPULSIS-1試験で61.5% vs. 18.6%、INPULSIS-2試験で63.2% vs. 18.3%(いずれもプラセボと比較)。トランスアミナーゼの上昇はINPULSIS-1試験、INPULSIS-2試験でそれぞれ4.9%、5.2%だった。

結論:
 IPFに対するニンテダニブ150mg1日2回の効果を検証した2つの第III相試験により、努力性肺活量の減少を有意に抑制する効果によりIPFの進行を緩和できるものと考えられた。


by otowelt | 2014-05-20 06:46 | びまん性肺疾患

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