カビくさい部屋にいると呼吸機能が悪化する

カビくさい部屋にいると呼吸機能が悪化する_e0156318_15514412.jpg 個人的には風呂掃除のときにカビとたたかうことが多かったのですが、半年に1回防カビ燻煙剤をするようになってからピンク色のカビが全く出なくなりました。

Samu Hernberg, et al.
Indoor molds and lung function in healthy adults
Respiratory Medicine Volume 108, Issue 5 , Pages 677-684, May 2014


背景:
 室内の真菌(mold:糸状菌)の曝露は世界的にありふれたことであり、重要な健康障害の原因である。しかし、真菌の曝露と呼吸機能の関連について気管支喘息を有さない成人ではほとんど調査されていない。われわれの目的は、自宅や職場における湿気・真菌曝露と呼吸機能の関連について調べることである。

方法:
 この集団ベース研究において、269人の気管支喘息を有さない南フィンランドの成人が質問票に答えた。質問は、自宅・職場の室内の湿気や真菌曝露、そのほか呼吸機能に影響を与えると思われる内容を問うた。また被験者には呼吸機能検査を実施した。重回帰モデルによって、曝露と呼吸機能の関連を調べた。

結果:
 交絡因子によって補正した線形回帰分析において、自宅でのカビくささ(mold odor)がある被験者は1秒量は平均200mL少なく(効果推定値−0.20L, 95%信頼区間−0.60 to 0.21)、努力性肺活量は平均460mL少なかった(効果推定値−0.46L, 95%信頼区間−0.95 to 0.03)。
 自宅だけでなく職場におけるカビくささを含めても、これら2パラメータは同様に減少した(1秒量効果推定値−0.15L, 95%信頼区間−0.42 to 0.12、努力性肺活量効果推定値−0.22, 95%信頼区間−0.55 to 0.11)。
 女性の場合、自宅のカビくささは1秒量で平均510mL減少(効果推定値−0.51L, 95%信頼区間−1.0 to 0.03)、努力性肺活量で平均820mL減少(効果推定値−0.82,95%信頼区間−1.4 to −0.20)。

結論:
 気管支喘息を有さない成人患者において、カビくささは呼吸機能の悪化と関連していた。特の女性では顕著であった。


by otowelt | 2014-06-02 00:28 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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