DELTA試験:EGFR遺伝子変異の有無を問わないNSCLC患者に対するエルロチニブはドセタキセルに優位性なし

e0156318_1833037.jpg 私の指導医であった川口先生の論文です。結果についてはすでに去年のASCOで報告されています。

Kawaguchi T, et al.
Randomized Phase III Trial of Erlotinib Versus Docetaxel As Second- or Third-Line Therapy in Patients With Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer: Docetaxel and Erlotinib Lung Cancer Trial (DELTA)
JCO May 19, 2014, Published online before print May 19, 2014, doi: 10.1200/JCO.2013.52.4694


目的:
 EGFR遺伝子変異の有無を問わない既治療例の進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、エルロチニブとドセタキセルの効果と安全性を比較するランダム化多施設共同第III相試験(DELTA試験)を実施した。

患者および方法:
 プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とした。セカンダリエンドポイントは全生存期間(OS)、奏効率、安全性、EGFR野生型腫瘍の解析とした。患者は、病期IIIBまたはIV、ECOG PSが0-2、白金製剤を含む1~2レジメンでの化学療法治療歴を含む測定可能な腫瘍を持つ進行NSCLC患者とした。
※登録時にはEGFR遺伝子変異の有無は条件とせず、ランダム化の際にEGFR遺伝子変異の有無は層別化因子としていないものの、EGFR遺伝子変異検査が登録時に推奨されている。

結果:
 2009年8月から2012年7月までに、41施設から301人が登録された。エルロチニブ群(1日150mg連日投与、150人)もしくはドセタキセル群(3週間おきに60mg/m2、151人)に無作為に割り付け、病勢が進行するまで投与した。
 患者背景に群間差はなかった。EGFR遺伝子野生型は、エルロチニブ群では109人(72.7%)、ドセタキセル群では90人(59.6%)だった。
 全体におけるPFS中央値は、エルロチニブ群が2.0ヶ月、ドセタキセル群が3.2ヶ月で、有意差はなかった(ハザード比1.22、95%信頼区間:0.97-1.55)。ただし、EGFR遺伝子野生型患者に限ると、エルロチニブ群が1.3ヶ月、ドセタキセル群が2.9ヶ月で、ドセタキセル群において良好な結果だった(ハザード比1.45、95%信頼区間:1.09-1.94, p<0.01)。
 全体におけるOS中央値は、エルロチニブ群が14.8ヶ月、ドセタキセル群が12.2ヶ月で、有意差はなかった(ハザード比0.91、95%信頼区間0.68-1.22, p=0.53)。EGFR遺伝子野生型患者でも群間差はみられなかった(ハザード比0.98、95%信頼区間0.69-1.39, p=0.91)。
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(文献より引用:全体のPFSとOS)

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(文献より引用:EGFR野生型患者のPFSとOS)

 全体の病勢制御率(DCR)はエルロチニブ群が61.9%、ドセタキセル群が77.2%で、ドセタキセル群で有意に良好であった(p=0.005)。奏効率はエルロチニブ群が17.0%、ドセタキセル群が17.9%で差はなかった(p=0.88)。
 EGFR遺伝子のexon19 deletionもしくはL858R変異を有するグループにおいて、PFSはエルロチニブ群9.3ヶ月、ドセタキセル群7.0ヶ月、OSはエルロチニブ群は未到達、ドセタキセル群27.8ヶ月であった。いずれも統計学的には有意な差ではなかった。
 試験治療中止後の治療は、エルロチニブ群はドセタキセル投与を受けたのが42.3%、無治療が26.4%、ドセタキセル群ではEGFR-TKIが37.9%、その他の治療が28.3%、無治療が33.8%。
 Grade3ないし4の有害事象のうち、エルロチニブ群では発疹が、ドセタキセル群では白血球減少症、好中球減少症、発熱性好中球減少症が有意に多かった。

結論:
 EGFR遺伝子変異の有無を問わないNSCLC患者に対するエルロチニブ投与は、PFSあるいはOSにおいてドセタキセルに対して優位ではなかった。EGFR遺伝子野生型の患者において、ドセタキセル群はエルロチニブ群よりもPFSを有意に延長した。


by otowelt | 2014-05-28 00:42 | 肺癌・その他腫瘍

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