抗レトロウイルス治療を受けているHIV感染者全員に対してイソニアジドの予防投与は結核発症予防効果あり

e0156318_1215550.jpg 驚愕の試験結果だと思ったのですが、よくよく考えれば過剰に発症抑制(取りこぼし例の抑制)をしているので当たり前の事象なのかもしれません。

Molebogeng X Rangaka, et al.
Isoniazid plus antiretroviral therapy to prevent tuberculosis: a randomised double-blind, placebo-controlled trial
Lancet, Published Online May 14, 2014


背景:
 抗レトロウイルス治療は結核のリスクを減らすが、HIV非感染者と比較してHIV感染者では結核の頻度が多い。われわれの目的は、抗レトロウイルス療法を受けている18歳以上のHIV-1感染患者について、結核リスクに対するイソニアジド予防投与の効果を評価することである。

方法:
 試験は、南アフリカケープタウンのカエリチャで実施された。被験者を1:1にイソニアジド予防投与12ヶ月群、プラセボ群にランダムに割り付けた。被験者、主治医、薬剤師に対して盲検化で行われた。スクリーニングにおいて、喀痰の抗酸菌培養検査が陽性となった結核症例は除外基準となった。
 プライマリエンドポイントは、結核の発症(疑い例や不確定例も含む)とした。

結果:
 2008年1月31日~2011年9月31日の試験期間中、合計1329人がランダム化された(イソニアジド群662人、プラセボ群667人)。全体で3227人年が解析対象となった。
 結核発症は95人に同定された。そのうちイソニアジド群は37人、発生率は2.3/100人年(95%信頼区間1.6~3.1)、プラセボ群は58人、発生率は3.6/100人年(95%信頼区間2.8~4.7)であった。ハザード比0.63(95%信頼区間0.41~0.94)だった。
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(文献より引用)
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(文献より引用)

 Grade3または4のALT値上昇のため試験薬投与を中断したのは、イソニアジド群19人/662人、プラセボ群10人/667人だった(リスク比1.9、95%信頼区間0.90~4.09)。
 この試験結果において、イソニアジド予防投与の効果がツベルクリン反応検査ないしインターフェロンγ遊離アッセイが陽性の患者のみに限定されるというエビデンスは観察されなかった。これらの結果が陰性であった患者の補正後ハザード比は、ツベルクリン反応検査0.43(95%信頼区間0.21~0.86)、インターフェロンγ遊離アッセイ0.43(95%信頼区間0.20~0.96)だった。陽性患者についてはそれぞれ0.86(同:0.37~2.00)、0.55(同:0.26~1.24)だった。

結論:
 予測試験や有益性予測の多変量アルゴリズムを行わずとも、イソニアジドの予防投与は、中等度以上の結核蔓延地域で抗レトロウイルス療法を受けている全患者に、ツベルクリン反応テストやインターフェロンγ遊離アッセイの陽性・陰性に関係なく推奨されるべきである。


by otowelt | 2014-06-03 00:57 | 抗酸菌感染症

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