何となく研修医に伝えたいこと その5:ポリファーマシーのクセをつけない

e0156318_1456532.jpg 私は、基本的にあまりたくさんの種類の薬剤を使用しないタイプの医師です。しかし、時にとてつもない種類の薬剤を内服している患者さんに出会うことがあります。

 私が研修医の頃でした。大量の“胃薬”を内服している患者さんが腹痛を主訴に救急受診しました。記憶が曖昧ですが、おおよそ以下のような処方だったと思います。


A病院:近所の開業医(風邪のときによく行く)
 モサプリド(ガスモチン)5mg錠 3錠分3
 シナール配合錠(アスコルビン酸) 6錠分3
 ガスター(ファモチジン)10mg 2錠分2
 ガナトン(イトプリド)50mg 3錠分3
 ビオフェルミン配合錠 3錠分3

B病院:近くの総合病院消化器内科(腹痛で受診することが多い)
 ランソプラゾール(タケプロン)30mg 1錠朝
 FK配合散 3包分3
 エクセラーゼ配合顆粒 3包分3
 マグミット(酸化マグネシウム)330mg 9錠分3

C病院:かかりつけ医(関節リウマチを診てもらっている)
 プレドニン(プレドニゾロン)5mg  2錠分1朝
 ムコスタ(レバミピド)100mg 3錠分3
 ボナロン(アレンドロン酸)35mg 土曜起床時
 バクタ配合錠 1錠分1朝
 アザルフィジン(サラゾスルファピリジン)500mg 2錠分2
 ツムラ大建中湯エキス顆粒 3包分3
 プルゼニド(センノシド)12mg 2錠分1眠前

 上部消化管内視鏡検査をおこない異常がないことを確認した上で、処方医に許可を取ってから消化器系の薬剤を1つずつオフしていきました。当初16種類内服していたのですが、最終的にプレドニン、ボナロン、アザルフィジン、ガスター、バクタの5種類にまで減らすことができました。驚くべきことに薬剤をオフしていくにつれ、患者さんが元気になっていきました。腹痛の症状の原因が薬剤を大量に内服していたかどうかはわかりませんでしたが、こういったポリファーマシーを受けている患者さんはまだまだ多いと思います。

 研修医になったばかりの頃は「患者さんを上手に治療する」=「効果的な薬剤を投与すること」という等式をイメージしがちです。しかしながら、その安易な処方が退院後も継続され、他院の薬剤と重複してしまうことがありうるわけです。

 もちろん患者さんも複数のかかりつけ医から似たような薬剤を安易に処方されるような、ドクターショッピングを避ける必要があります。しかし、薬剤を処方されることで満足感を得る患者さんはまだまだ多く、患者満足度という名分のもとポリファーマシーが常態化している現状があります。

 研修医の方々は、本当にその薬剤が目の前の患者さんの病態を改善させる確からしさが高いのかどうか、悩んでほしいと思います。そして、ポリファーマシーがクセにならないようにして下さい。

 こんなことを書いている私も、研修医から「先生、この薬要らないと思うんですけど・・・」と指摘されることもあります。まだまだ勉強が必要ですね。

<何となく研修医に伝えたいこと>
その1:夕方に指示を出すべからず
その2:病棟ではあまりタメ口は使うべからず
その3:患者さんの社会背景や退院後の生活を常に考えるべし
その4:1日2回は患者さんに会いに行くべし
その5:ポリファーマシーのクセをつけない
その6:研修医時代は早めに出勤した方がよい
その7:クリアカットになりすぎない
その8:「●●も否定できない」は肯定の理由にはならない


by otowelt | 2014-07-19 00:38 | コラム:研修医に伝えたいこと

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