小児のウイルス性細気管支炎に対する高張食塩水の吸入は在院日数などのアウトカムを改善せず

小児のウイルス性細気管支炎に対する高張食塩水の吸入は在院日数などのアウトカムを改善せず_e0156318_14112244.jpg 細気管支炎に対する高張食塩水のネブライザー吸入は、有効と結論づけられませんでした。

Jasmijn Teunissen, et al.
The effect of 3% and 6% hypertonic saline in viral bronchiolitis: a randomised controlled trial
ERJ June 25, 2014 erj01596-2013


背景:
 細気管支炎は小児によくみられる病態で、しばしば入院を要する。高張食塩水がもしかすると有効かもしれないとされている以外に、エビデンスのある治療は存在しないのが現状である。この研究は、入院を要するウイルス性細気管支炎の小児に対して、3%および6%の高張食塩水のネブライザー吸入が0.9%生理食塩水と比較して有効かどうか検証したものである。

方法:
 この多施設共同二重盲検ランダム化比較試験において、急性ウイルス性細気管支炎で入院になった小児をランダムに3%食塩水、6%食塩水、0.9%生理食塩水のネブライザー吸入に割り付けた。気管支攣縮を緩和するためにサルブタモールが追加投与された。プライマリエンドポイントは在院日数とした。セカンダリアウトカムは酸素投与や経管栄養を要することとした。

結果:
 292人の小児が本研究に登録され(年齢中央値3.4ヶ月)、247人が完遂した。プライマリアウトカムである在院日数中央値は全群で差はみられなかった(3%食塩水:69時間 vs 6%食塩水:70時間 vs 0.9%生理食塩水:53時間、p=0.29)。セカンダリアウトカムについては有意な差は観察されなかった。有害事象も全群同等であった。

結論:
 ウイルス性細気管支炎の小児に対する高張食塩水のネブライザーは安全ではあるが、在院日数や酸素投与・経管栄養の必要性といったアウトカムを改善させる効果はなかった。


by otowelt | 2014-07-11 00:55 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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