外傷性脳損傷患者における低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンは院内肺炎の発症を抑制できず

e0156318_22262163.jpg CRASH試験(Lancet. 2004; 364: 512-520)ではステロイドの投与は死亡リスクや院内肺炎の頻度を上昇させたことが有名です。しかしながら、HYPOLYTE試験(JAMA 2011; 305: 1201-1209)では副腎機能が正常化した時点でステロイドを中止しているためか、院内肺炎の頻度を下げたと報告されています。
 今回のLancet Respiratory Medicineの報告は、HYPOLYTE試験と同じくサンプルサイズが小さい点がlimitationとなりました。

Karim Asehnoune, et al.
Hydrocortisone and fludrocortisone for prevention of hospital-acquired pneumonia in patients with severe traumatic brain injury (Corti-TC): a double-blind, multicentre phase 3, randomised placebo-controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 24 July 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70144-4


背景:
 外傷性脳損傷後の院内肺炎:(Hospital-acquired pneumonia)はよくみられる病態であり、脳外傷による副腎機能不全が部分的に関与している可能性が示唆されている。われわれは、低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンが院内肺炎を予防する効果があるかどうか検証した。

方法:
 われわれは二重盲検第III相プラセボ対照試験をフランスの19のICUで実施した。重症外傷性脳損傷(GCS8点以下で頭部CTで脳損傷が確認できるもの)をきたした15~65歳の患者を登録した。患者はランダムに1:1にヒドロコルチゾン200mg/日(その後漸減)+フルドロコルチゾン50μg/日あるいはプラセボに10日間割り付けた。薬剤投与前に、副腎機能がコルチコトロピンテストによって調べられた。ステロイドおよびプラセボは副腎機能不全がなくなれば中止とした。
 プライマリアウトカムはランダム化から28日以内の院内肺炎の発症とした。ITT解析および副腎機能不全患者のみを含めた修正ITT解析をおこなった。

結果:
 2010年9月1日から2012年11月29日まで、われわれは336人の患者を登録した(168人ずつ各群割り付け)。8人の患者が同意を撤回した。28日時点で、ステロイド投与群の165人中74人(45%)およびプラセボ群の163人中87人(53%)が1回以上の院内肺炎を発症した(ハザード比0.75; 95%信頼区間0.55—1.03, p=0.07)。ITT解析において、われわれはステロイド群で86の院内肺炎エピソードを、プラセボ群で110の院内肺炎エピソードを記録した(1患者あたり発症数中央値:0, IQR 0—1 vs 1, IQR 0—1 , p=0.07)。修正ITT解析では、副腎機能不全のある患者においてプラセボ群と比較したステロイド群の院内肺炎のハザード比は0.80 (95%信頼区間0.56—1.14, p=0.22)で、副腎機能が正常の患者における探索的解析ではハザード比0.48 (95%信頼区間0.23—1.01; p=0.05)であった。治療による有害事象は観察されなかった。

結論:
 外傷性脳損傷の患者における低用量ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンはアウトカムを改善させなかった。しかしながら、プラセボ群における院内肺炎の患者が想定よりも少なく、研究自体が検定力不足であった。結果は統計学的に有意に近いものであり、さらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2014-08-06 00:50 | 感染症全般

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