LENTスコア:悪性胸水を有する患者の予後予測が可能

e0156318_1654876.jpg 「LENT」は、「復活祭前にカトリック信者が断食・懺悔を行う期間」という意味もあるので、とかく終末期医療では宗教的に誤解を招く可能性があるので別の名前の方がよかったのかも、と感じました。

Amelia O Clive, et al.
Predicting survival in malignant pleural effusion: development and validation of the LENT prognostic score
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2014-205285


背景:
 悪性胸水は呼吸困難感を悪化させ、生存予後に多大な影響を与える。この研究は、悪性胸水のある患者において悪性腫瘍による生存データを得て、全生存期間を予測する因子を同定し、予後予測スコアリングシステムを構築することにある。

方法:
 悪性胸水の患者を登録した3ヶ国の大規模国際コホート(イギリス、オーストラリア、オランダ)が生存解析に用いられた(単変量Coxモデル)。イギリスは2コホート登録され、これらコホートにおいて最も多い悪性腫瘍は肺癌であり、次いで悪性胸膜中皮腫、乳癌であった。生存期間は、悪性胸水の診断から死亡までと定義した。事前に規定された14の予後予測因子が多変量Coxモデルによって評価された。その後、臨床予後予測スコアリングシステムを構築した。

結果:
 コホートから得られたデータおよび多変量生存解析に基づいて、LENT予後予測スコア(胸水中LDH、ECOGパフォーマンスステータス、血液中好中球(N)/リンパ球比、腫瘍の組織型(T))が構築された。層別化をおこない、低リスク(スコア0-1、生存期間中央値319日、IQR228-549日、49人)、中リスク(スコア2-4、生存期間中央値130日、IQR47-467日、129人)、高リスク群(スコア5-7、生存期間中央値44日、IQR22-77日、31人)に分けられた。
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(文献より引用:LENTスコア)

 診断後1ヶ月時点で高リスクLENTスコアの患者の65%(31人中20人)しか生存していなかった。LENTスコアのROC曲線下面積によれば、1~6ヶ月でのECOGパフォーマンスステータスよりも生存の予測に優れていた(1ヶ月時点:0.77 vs 0.66, p<0.01、3ヶ月時点:0.84 vs 0.75, p<0.01、6ヶ月時点:0.85 vs 0.76, p<0.01)。
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(文献より引用)

結論:
 LENTスコアリングシステムは悪性胸水を有する患者における予後予測能を検証した最初のスコアである。これは、ECOGパフォーマンスステータスよりも精度が高い。


by otowelt | 2014-08-28 00:34 | 肺癌・その他腫瘍

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