職業性喘息は原因を回避しても無意味?

e0156318_10124325.jpg 当院にも職業性喘息の患者さんはたくさんいます。個人的には職場環境の改善によって軽快する患者さんが半数くらいいる印象を持っています。
 この論文は、曝露を回避しても臨床的な悪化を予測することは難しいという結論であり、イコール予後改善がないと捉えるのは早計かと思います。

X. Muñoz, et al.
Evolution of occupational asthma: Does cessation of exposure really improve prognosis?
Respiratory Medicine, Articles in Press


目的:
 職業性喘息(occupational asthma:OA)の予後は、患者が原因と思われる因子から回避するか曝露を容認し続けるかという点に依存するとされている。この“回避”が効果的な治療法かどうかはまだわかっていない。

方法:
 この研究は、特異的な吸入試験によってOAと診断された患者に対して実施された。患者は同日に以下の検査を受けた:臨床的問診、身体所見、呼吸機能検査、メサコリン試験、総IgE測定。診断時のGINA重症度スケールに基づいて、臨床的な改善、悪化、不変が定義された。

結果:
 登録された73人の患者のうち、55人が完全に曝露を回避し、18人が職場で曝露を続けた。臨床的な改善は、曝露を回避した患者の47%、職場で曝露し続けた患者の22%にみられた。臨床的な悪化は、同様にそれぞれ14%、22%にみられた(p = 0.805)。
 臨床的な変化を予測する因子をロジスティック回帰分析で同定しようとこころみたが、吸入抗原などによって補正しても同定できなかった。曝露を回避しても容認しても、臨床的な悪化を予測できなかった。同様に、1秒量や気道過敏性の変化に対しても、曝露を回避しても容認しても有意な影響はなかった。

結論:
 OAの患者において、原因と考えられる因子を曝露を回避しても、臨床的な予後改善に直結しないと考えられる。たとえそうであっても、現行のマネジメントガイドラインを変更するよう推奨するにはまだエビデンス不足と言わざるを得ない。


by otowelt | 2014-09-01 12:38 | 気管支喘息・COPD

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