AIR-BX試験:非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入アズトレオナムは臨床的に有意な利益をもたらさない

e0156318_22435338.jpg 気管支拡張症に対する吸入抗菌薬としてはトブラマイシン、アミカシンあたりが呼吸内科的にメジャーですね。ATSでもシステマティックレビューが報告されています。
 そういえば、その後吸入マンニトールはどうなったのでしょう。

ATS2014:気管支拡張症に対する吸入抗菌薬のシステマティックレビュー
非嚢胞性線維症の気管支拡張症に対する吸入ドライパウダーマンニトール(ブロンキトール®)の効果

Alan F Barker, et al.
Aztreonam for inhalation solution in patients with non-cystic fibrosis bronchiectasis (AIR-BX1 and AIR-BX2): two randomised double-blind, placebo-controlled phase 3 trials
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 19 August 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70165-1


背景:
 非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者における吸入抗菌薬の臨床的利益はランダム化比較試験では確率されていない。われわれは、非嚢胞性線維症の気管支拡張症およびグラム陰性菌コロナイゼーションのある患者に対するアズトレオナム吸入の効果と安全性をアセスメントした。

方法:
 AIR-BX1およびAIR-BX2は二重盲検多施設共同ランダム化プラセボ対照第3相試験で、18歳以上の喀痰あるいは気管支鏡のグラム陰性菌の培養が陽性となった気管支拡張症患者を登録した。患者はランダムに1:1にアズトレオナムあるいはプラセボの吸入を受ける群に割り付けられた。
 両試験では、4週間のアズトレナム75mgあるいはプラセボ吸入治療(1日3回、ネブライザー使用)を2セット行い、その後4週間フォローアップした。プライマリエンドポイント治療後4週時点での気管支拡張症QOL呼吸器症状スコア(QOL-B-RSS)のベースラインからの変化とした。

結果:
 AIR-BX1試験では47病院、AI-BX2試験では65病院から患者を登録した。試験は2011年4月25日から2013年7月1日まで実施された。
 AIR-BX1試験では、348人の患者がスクリーニングされた。134人がアズトレオナム群に、132人がプラセボ群に割り付けられた。AIR-BX2試験では404人の患者がスクリーニングされた。136人がアズトレオナム群へ、138人がプラセボ群に割り付けられた。
 4週時点でのアズトレオナムとプラセボの間のベースラインからの平均QOL-B-RSSの差はAIR-BX1試験では有意ではなかった(0.8、95%信頼区間−3.1 to 4.7、 p=0.68)。しかしAIR-BX2試験では有意な差がみられた(4.6, 95%信頼区間1.1 to 8.2, p=0.011)。4週時点での後者試験の4.6ポイントという数字は、臨床的に有意とは考えられなかった。
 両試験において治療関連有害事象はアズトレオナム群で多くみられた。最もよくみられたのは呼吸困難感、咳嗽、喀痰の増加であった。

結論:
 QOL-B-RSSをアウトカムに設定した場合、非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者に対するアズトレオナム吸入は臨床的に有意な利益をもたさなかった。プラセボ対照試験において吸入抗菌薬の臨床的利益のエビデンスを蓄積していく必要があるだろう。


by otowelt | 2014-09-02 00:20 | 感染症全般

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