肺動脈性肺高血圧症に対するアドシルカ®は男性の方が恩恵を受けやすい

肺動脈性肺高血圧症に対するアドシルカ®は男性の方が恩恵を受けやすい_e0156318_9102283.jpg 意味はだいたいわかるのですが、なんだか言い回しが非常に読みにくい論文でした。タダラフィルは、アドシルカ®とシアリス®だけでなく、前立腺肥大に対するザルティア®も登場してややこしくなってきました。

Stephen C. Mathai, et al.
Gender Differences in Response to Tadalafil in Pulmonary Arterial Hypertension
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-0263


背景:
 肺動脈性肺高血圧症(PAH)は高い死亡率を呈する進行性の疾患である。現在おこなわれている治療は、症状、機能的能力を改善させ、一部では生存も改善させる。6分間歩行距離(6MWD)や健康関連QOL(HRQoL)といった臨床的反応性の効果を予測する患者特異的な因子についてはよくわかっていない。

方法:
 PAHに対してタダラフィルを使用したランダム化比較試験のデータを用いた。補正ロジスティック回帰モデルを用いて、ベースライン患者特性と3因子の意義のある最小変化量(MID)オッズ比との関連性を調べた。3因子とは、6MWD>33m、SF-36のうち身体的健康スコア(Physical Component Summary:PCS)>5点あるいは精神的健康スコア(mental component summary score:MCS)>5点である。

結果:
 405人が登録された。若い年齢、男性、ベースライン6MWDの低さ、PAHの原因といった因子は6MWDのMID達成オッズ比を上昇させた。また、PCSのMID達成オッズ比は、積極的な治療、若い年齢、男性という因子によって上昇した。MCSのMID達成オッズ比は、男性因子によって上昇した。

結論:
 年齢、性別、ベースラインの機能的能力、PAHの原因は、PAHの治療による臨床的反応性(6MWD、HRQoL)の達成に変化をもたらす。女性と比較した男性における治療反応性は新しい知見であり、性別間の病態生理の違いを反映しているのかもしれない。


by otowelt | 2014-09-03 00:24 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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