特発性肺線維症の人種差:北海道の疫学研究から

e0156318_9301181.jpg 研究によってどうしてもバラつきがあるので、人種差を検証するのは難しい課題ですね。IPF急性増悪による死亡が多いのは韓国も同様です(Respir Med 2006; 100: 451-457.)。この論文のDiscussionにも書かれていますが、ゲフィチニブやレフルノミドによる薬剤性肺障害の頻度も日本人で多いとされており、人種の因子も関与しているのかなと感じてしまいます。
 この論文では、日本人のIPFの生存期間中央値のデータが明示されています。

Natsuizaka M, et al.
Epidemiological Survey of Japanese Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis and Investigation of Ethnic Differences
Am J Respir Crit Care Med. First published online 27 Aug 2014 as DOI:10.1164/rccm.201403-0566OC


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は原因不明の予後不良の疾患である。いくつかの大規模疫学研究は、欧米諸国のものである。そのため、アジア諸国における研究は少なく、IPFの人種差についてはよくわかっていない。

目的:
 日本におけるIPFの疫学的ステータスと人種差を調べること。

方法:
 われわれは本研究において北海道(人口560万人)を日本のIPFの疫学コホートとして選択した。553人のIPF患者の診療録をレトロスペクティブに検証し、疫学的および予後解析をおこなった。登録患者のうち、62人が外科的肺生検によって診断されている。

結果:
 登録患者の平均年齢は70±9歳で、72.7%が男性、67.6%が喫煙者、4.8%が家族性であった。呼吸機能検査では40%の患者が肺活量が予測値の60%未満であった。%DLCOは全体の57%の患者で予測値の60%未満だった。
 IPFの有病率および累積罹患率は、それぞれ10万人あたり10.0人、2.23人だった。男性が72.7%であり、年齢とともに頻度が上昇していた。生存期間中央値は35ヶ月であり、40%の死亡がIPF急性増悪であった。IPFの予後に影響を与える最も重要な因子は、%肺活量だった。
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(文献より引用)
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(文献より引用)

結論:
 日本人のIPFステータスはわれわれの研究が最初のデータに分類される。われわれの結果によれば、欧米諸国に比べると日本人のIPFは、男性に多く、IPFの死亡は急性増悪によるものが多く、心血管性疾患による死亡は少なかった。これはIPFの人種差を示唆するものである。


by otowelt | 2014-09-26 00:57 | びまん性肺疾患

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