吸入β2刺激薬で気管支が攣縮する患者が5%いる

e0156318_21305926.jpg β2刺激薬で気管支攣縮をきたす患者の多くはネブライザーによって、その添加物にアレルギーがあるために起こるとされていました(Br J Clin Pharmacol. 1988; 25: 283–287、Pharmacotherapy. 1998; 18: 130–139)。しかし、サルブタモールなどの吸入薬によっても起こりうることが近年取り上げられています。これは、吸入薬の中に含まれているエデト酸ナトリウム水和物のせいではないかとされています。
 それにしても5%は多すぎる気がします。欧米の医師のツイッターでも多すぎるのではと指摘されています。

Surya P Bhatt, et al.
Radiological correlates and clinical implications of the paradoxical lung function response to β2 agonists: an observational study
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 10 September 2014


背景:
 COPD患者の大部分は気管支拡張の反応性がみられるが、β2刺激によって奇異的に(paradoxical)気管支攣縮を引き起こすことがある。β2刺激による有症状の気管支攣縮よりも無症候性の気管支攣縮が多いと想定される。われわれは、COPDの有無を問わず現喫煙者ないし既往喫煙者における奇異反応の頻度、放射線学的および臨床的意義を調べた。

方法:
 この多施設共同試験(COPDGene)において、非ヒスパニック白人およびアフリカ系アメリカ人の患者(45~80歳)が登録され、2群に分けて解析された。すなわち奇異反応がみられた群(β2刺激薬[180μgのサルブタモール]投与後に少なくとも1秒量が絶対値で200mL減少および12%減少、あるいは努力性肺活量の減少、あるいはその両方がみられた者)とみられなかった群である。

結果:
 患者は2008年1月から2011年6月まで登録された。10364人のうち9986人(96%)がCOPDGene試験に組み込まれ、解析された(平均年齢59.6±9.0歳)。
 その結果、奇異反応は9986人の患者のうち453人(5%)に観察され、その頻度はCOPD患者でも(4439人中198人[4%])、気流制限のない喫煙者でも(5547人中255人[5%])同等であった。白人と比較して、アフリカ系アメリカ人において奇異反応は2倍の頻度でみられた(3283人中227人[7%] vs 6704人中226人[3%]; p<0.0001)。多変量解析において、アフリカ系アメリカ人の人種(補正オッズ比1.89, 95%信頼区間1.50—2.39; p<0.0001), 気腫が少ない患者(補正オッズ比0.96, 95%信頼区間0.92—0.99; p=0.023), 区域気管支レベルでの気道壁厚(%)の増加(補正オッズ比1.04, 95%信頼区間1.01—1.08; p=0.023)は独立して奇異反応と関連していた。また、奇異反応は独立して呼吸困難感(mMRCスケール補正adjusted β 0.12 [95%信頼区間0.00 to 0.24]; p=0.05), 6分間歩行距離の減少(−45.8 [95%信頼区間—78.5 to −13.2]; p=0.006), BODEインデックス(0.31 [95%信頼区間0.19 to 0.43]; p<0.0001), 重度の急性増悪の頻度の増加(increased by a factor of 1.35, 1.00—1.81; p=0.048)と関連していた。

結論:
 β2刺激薬による奇異反応は、呼吸器系のアウトカム不良に関連し、アフリカ系アメリカ人によくみられることがわかった。ある患者ではβ2刺激薬の使用に注意が必要であろう。


by otowelt | 2014-09-12 00:12 | 気管支喘息・COPD

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