BLESS試験解析:緑膿菌感染がない気管支拡張症にはエリスロマイシンは処方しない方がよい

e0156318_2302539.jpg 気管支拡張症に対する長期マクロライド療法は、EMBRACE試験、BAT試験、BLESS試験の3つを覚えておきましょう。前者2試験がアジスロマイシン、BLESS試験がエリスロマイシンの臨床試験です。

・EMBRACE試験(Lancet. 2012 Aug 18;380(9842):660-7.)
 141人の気管支拡張症の患者さんをアジスロマイシン500mgあるいはプラセボを週3日(月、水、金曜日)、6か月間投与する群にランダムに割り付けたものです。治療期間中の増悪率はアジスロマイシン群が0.59/人と、プラセボ群の1.57/人と比較して有意に改善しました(率比0.38、95%信頼区間0.26~0.54、p<0.0001)。ただし、呼吸機能やQOLには変化を与えませんでした。

・BAT試験(JAMA. 2013 Mar 27;309(12):1251-9.)
 EMBRACE試験同様、アジスロマイシンとプラセボが比較されました。この試験ではアジスロマイシンは1日250mg・1年間使用されています。その結果、1回以上急性増悪を起こした割合は46% vs. 80%と有意にアジスロマイシンで減少しました。ただ、アジスロマイシン群では消化器系の副作用が多かったようです。

・BLESS試験(JAMA. 2013 Mar 27;309(12):1260-7.)
 気管支拡張症の患者さん117人を対象に、長期低用量エリスロマイシンの有効性をプラセボと比較した試験。事前に定義された増悪回数は、介入群で有意に減少しました。ただ、マクロライド系抗菌薬耐性レンサ球菌の出現率が増加しました。

 Lancet Respiratory Medicineから、BLESS試験の追報告です。

Geraint B Rogers, et al.
The effect of long-term macrolide treatment on respiratory microbiota composition in non-cystic fibrosis bronchiectasis: an analysis from the randomised, double-blind, placebo-controlled BLESS trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 14 October 2014


背景:
 炎症性気道疾患に対する長期マクロライド療法には利益があることが示されているが、それが呼吸器系の細菌叢の構成に変化を与えるかどうかは分かっていない。われわれは、長期低用量エリスロマイシン治療が非嚢胞性線維症の気管支拡張症の患者において呼吸器系の細菌叢の構成に変化を与えるかどうか調べた。

方法:
 細菌叢の構成は、BLESS試験に登録された患者の喀痰の16S rRNA遺伝子シークエンスによって同定された。プライマリアウトカムは、ベースラインと治療48週目の呼吸器系の細菌叢の変化(Bray-Curtisインデックスで解析)とした。これをエリスロマイシン群とプラセボ群で比較した。

結果:
 ペア喀痰検体は86人の患者から採取され、42人がプラセボ群、33人がエリスロマイシン群だった。細菌叢の変化は有意にエリスロマイシン群で大きかった(Bray-Curtisスコア中央値0.52 [IQR 0.14—0.78] vs 0.68 [IQR0.46—0.93]; 差0.16, 95%信頼区間0.01—0.33; p=0.03)。ベースラインの時点で緑膿菌が優勢な患者では、エリスロマイシンは細菌叢に有意な変化を与えなかった。緑膿菌以外の細菌が優勢な患者では、エリスロマイシンは有意に細菌叢の構成に変化を与えた(p=0.03)。すなわち、相対的にインフルエンザ桿菌を減少させ(35.3% [IQR5.5—91.6] vs 6.7% [IQR0.8—74.8]; 差12.6%, 95%信頼区間0.4—28.3; p=0.04; interaction p=0·02)、緑膿菌を増加させた(0.02% [IQR0.00—0.33] vs 0.13% [0.01—39.58]; 差6.6%, 95%信頼区間0.1—37.1; p=0.002; interaction p=0.45)。緑膿菌が優勢な患者では、エリスロマイシンはプラセボと比較して呼吸器系の増悪頻度を減少させた(48週間の中央値1 [IQR 0—3] vs 3 [IQR2—5]; 差−2, 95%信頼区間−4 to —1; p=0.01)。しかし、緑膿菌が優勢でない患者では差はみられなかった(48週間の中央値1 [IQR0—2] vs 1 [IQR0—3]; 差0, —1 to 0; p=0.41; interaction p=0.04)。

結論:
 気管支拡張症の患者に対する長期エリスロマイシン療法は呼吸器系の細菌叢の構成を変化させる。緑膿菌感染のない患者では、エリスロマイシンは増悪の頻度を有意に減少させず、インフルエンザ桿菌の置換を促進させる。そのため、緑膿菌感染のない患者では慢性的なマクロライドの使用に注意が必要である。


by otowelt | 2014-11-06 00:12 | 呼吸器その他

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