HIV感染症を有する成人への36ヶ月間イソニアジドの肝障害の頻度は5%

e0156318_2243466.jpg ボツワナの試験(The Lancet, Volume 377, Issue 9777, Pages 1588 - 1598, 7 May 2011 )では、36ヶ月のイソニアジドが有効とされていますが、現時点では9~12ヶ月以上の投与が有効であることは分かっているものの、果たして3年も投与が必要なのかどうかは研究グループによって意見が分かれています。

Zegabriel Tedla, et al.
Isoniazid-associated hepatitis in HIV-infected adults receiving thirty-six months isoniazid prophylaxis in Botswana
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-0215


背景:
 結核蔓延国においてHIVに感染した成人に対して、WHOは36ヶ月のイソニアジド予防治療(36IPT)を推奨している。われわれは、36IPTを用いた患者においてイソニアジドによる肝炎の頻度とリスク因子を調べた。

方法:
 ボツワナで実施されたランダム化比較試験において1006人のHIV感染成人が36IPTを受けた。黄疸やトランスアミナーゼが正常上限の2.5倍を超えて上昇している患者は登録から除外した。ARTを受けている場合はCD4陽性リンパ球数が200未満、それ以外はCD4陽性リンパ球数を問わず登録した。重症肝炎(正常上限の5倍を超えるトランスアミナーゼ上昇)がみられた場合、36IPTは中止した。しかし、中等度の障害であれば容認した(2.5~5倍)。

結果:
 1006人中19人(1.9%)が重症肝炎を起こした。3人が黄疸を呈し、2人が肝性脳症に陥った。また31人(3.1%)が中等度の肝炎を起こした。肝炎を起こした50人のうち20人は、ベースラインのARTとは関連していなかった(ハザード比1.49、95%信頼区間0.20-11.1, P=0.70)。

結論:
 36IPTを受けたHIV感染症の成人患者は、過去に報告されているほど肝炎や肝性脳症を起こすわけではなさそうだ。ARTを受けていない患者と比較しても、ARTによってそのリスクが上昇するわけでもなかった。


by otowelt | 2014-11-26 00:18 | 抗酸菌感染症

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