スタチンによるCOPD急性増悪のリスク減少は心血管系合併症を有する患者に観察される

e0156318_911482.jpg スタチンは呼吸器疾患単独では無意味である可能性が示唆されています。しかし、心血管系合併症を有する集団では有効と考えられます。サブグループについて解析を加えた点は新規性があります。
 なお、STATCOPE試験(N Engl J Med. 2014 Jun 5;370(23):2201-10. )ではスタチンは無効と報告されています。

ATS2014:STATCOPE試験:スタチンはCOPD急性増悪を減少させない

 ただ、この研究ではスタチンの曝露期間に対してバイアスが存在するという指摘(N Engl J Med. 2014 Sep 4;371(10):969-70.)があり、スタチンとCOPDの関連について決着がつくのはもう少し先かもしれません。

Truls S Ingebrigtsen, et al.
Statin use and exacerbations in individuals with chronic obstructive pulmonary disease
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2014-205795


背景:
 われわれは、COPDの患者におけるスタチンの使用が急性増悪のリスクの減少と関連しているのではないかという仮説を検証した。

方法:
 コペンハーゲン一般集団研究(2003年~2008年)においてCRPを測定された5794人のCOPD患者を同定した。3年のフォローアップ期間において、われわれは入院や経口ステロイド使用を要した急性増悪患者を抽出した。年齢、性別、喫煙歴、COPD重症度、合併症でマッチした症例対照デザインにおいて、スタチンの使用は重症度や合併症と関連があると予測した。加えて、スタチンの使用と高CRP(>3 mg/L)、高CRPと急性増悪には関連があると想定した。

結果:
 スタチンの使用は、急性増悪のオッズ比を減少させた(オッズ比0.68、95%信頼区間0.51 to 0.91, p=0.01)。同様に多変量条件付きロジスティック回帰分析においても、オッズ比を減少させた(オッズ比0.67、95%信頼区間0.48 to 0.92, p=0.01)。しかしながら、最重症COPDや心血管系合併症を有さないサブグループにおいては、スタチンと急性増悪の関連性は観察されなかった(オッズ比1.1、95%信頼区間0.5 to 2.1, p=0.83)。さらにスタチンの使用は、高CRPとなるオッズ比を減少させ(オッズ比0.69、95%信頼区間0.56 to 0.85, p<0.001)、高CRPは急性増悪のリスクを上昇させた(ハザード比1.62、95%信頼区間1.35 to 1.94, p<0.001)。スタチン使用によってCRP減少を介した急性増悪の過剰リスクは14%減少すると推測した。

結論:
 スタチンの使用はCOPD急性増悪のリスクの減少と関連していたが、最重症COPDや心血管系合併症のない患者では明らかではなかった。そのため、スタチンは心血管系合併症を有するCOPD患者においてリスクを減少させる効果があるだけかもしれない。


by otowelt | 2014-11-12 00:29 | 気管支喘息・COPD

<< 歩行試験のシステマティックレビ... メタアナリシス:サルコイドーシ... >>