間質性肺疾患におけるステロイドの減量方法は?

e0156318_16214955.jpg・長期のステロイド治療を要する間質性肺疾患
 間質性肺疾患ではステロイドを長期に使用する疾患があります。その代表的なものがCOPとNSIP(特にcellular NSIP [cNSIP])です。特発性肺線維症に対してはステロイドの積極的な使用は推奨されていません。また、慢性過敏性肺炎や肺の線維化を伴うサルコイドーシスに対するステロイド治療についてはいまだ意見の一致をみません。そのため、呼吸器内科では長期のステロイド治療を要する間質性肺疾患は、COPとNSIPが代表的なものと考えられます。


・COPに対するステロイド治療
 COPに対するステロイドの初期投与量は、国際的にはプレドニゾロン0.5~1.0mg/kgと考えられています1)が、厳密なエビデンスはありません。その理由は、特発性間質性肺炎に対するステロイド治療が過去の臨床試験プロトコルを参照に使用されており、ステロイドの用量によって比較検討した大規模試験がないためです。個人的にはCOPに対しては0.5mg/kgで十分効果があることが多いと感じており、推奨下限の同投与量に設定しています。さてどのくらいこの量を続けて、どう漸減していくか。私が頻繁に利用しているUpToDateにはこのような記載があります。「初期投与量(UpToDateでは0.75~1.0mg/kgを推奨)を4~8週間維持し、もし病態が安定ないし改善しておれば、プレドニゾロンを0.5~0.75mg/kgへ漸減し4~6週間維持する。経口ステロイドを3~6か月続けた後、投与量をゼロにまで漸減していく」。ただしこれには参考文献はありません。そう、答えがないからです。このエキスパートオピニオンでは、8~14週間イコール3か月程度は初期投与量~やや漸減させた量を継続し、その後漸減するという形をとれと書いているワケです。そのため、投与期間は少なくとも5~6か月くらいになると想定されます。
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図1. COPに対するステロイド投与例(理想体重60kgとして計算)

 COPは再発する例が多く、特にステロイド漸減中の再発には要注意です。再発率はおよそ30~60%くらいと考えられています2)-4)。低栄養状態にある患者では再発が多いとされています4)。また、AFOPのような重症例や多葉がおかされたCOPは再発率が高いと考えられています5)。再発性のCOPに対するステロイド投与の期間にはエビデンスはありませんが、初回よりも長めに設定して1年近く投与することもあります。
 予後については、AFOPのように致死的なCOPもありますが、全体から見ればCOPの死亡率はほぼゼロに近いと考えます。


・NSIPに対するステロイド治療
 たとえ効果があまり期待できないfibrosing NSIPでもステロイド治療を導入することがありますが、cNSIPに対してはほとんどがステロイド治療を導入することになります6)。その投与量についてCOPと同じく国際的に確たるエビデンスがあるわけではなく、プレドニゾロン0.5~1.0mg/kgを投与し2~4週間ごとに5mgずつ減量することが多いです。印象としては、COPの方がやや長めに初期投与量を維持するレジメンになっていますね。また日本では、NSIPでは免疫抑制剤を併用することも多く、特にステロイド無効時にアザチオプリン(イムラン)を2~3mg/kg/日を併用する手法もメジャーです(最初から免疫抑制剤を併用する方法もあります)。個人的には、高用量ステロイドや免疫抑制剤によって良い恩恵が受けられた経験が多くないことと、NSIPに対する臨床的な利益がはっきりしていないことから、積極的に高用量ステロイドと免疫抑制剤を投与することはあまりありません。ステロイドを導入する場合は、やはり0.5mg/kg/日程度としています。ステロイドは漸減したのち、5~10mg/日程度を維持することも多いですが、病態が安定しておれば10~12か月後に完全に中止するというエキスパートオピニオンもあります。
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図2. NSIPに対するステロイド投与例(理想体重60kgとして計算)

 cNSIPの場合は疾患増悪によって死亡する可能性はかなり低いと考えられていますので7)、「ステロイドでコントロール」できる疾患であることを患者さんに強調してよいと思います。ただNSIP全体でみた場合、5年以内に15~20%程度は死亡するという報告もあり、個人差が大きいことには留意しておいた方がいいでしょう8)


(参考文献)
1) Bradley B, et al. Interstitial lung disease guideline: the British Thoracic Society in collaboration with the Thoracic Society of Australia and New Zealand and the Irish Thoracic Society. Thorax. 2008 Sep;63 Suppl 5:v1-58.
2) Drakopanagiotakis F, et al. Cryptogenic and secondary organizing pneumonia: clinical presentation, radiographic findings, treatment response, and prognosis. Chest. 2011 Apr;139(4):893-900.
3) Lazor R, et al. Cryptogenic organizing pneumonia. Characteristics of relapses in a series of 48 patients. The Groupe d'Etudes et de Recherche sur les Maladles "Orphelines" Pulmonaires (GERM"O"P). Am J Respir Crit Care Med. 2000 Aug;162(2 Pt 1):571-7.
4) Watanabe K, et al. Factors related to the relapse of bronchiolitis obliterans organizing pneumonia. Chest. 1998 Dec;114(6):1599-606.
5) Nishino M, et al. Clinicopathologic features associated with relapse in cryptogenic organizing pneumonia. Hum Pathol. 2014 Feb;45(2):342-51.
6) 日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会. 非特異性間質性肺炎(NSIP). 特発性間質性肺炎診断と治療の手引き改訂2版. 南江堂. p74-92, 2011.
7) Travis WD, et al. Idiopathic nonspecific interstitial pneumonia: prognostic significance of cellular and fibrosing patterns: survival comparison with usual interstitial pneumonia and desquamative interstitial pneumonia. Am J Surg Pathol. 2000 Jan;24(1):19-33.
8) Park IN, et al. Clinical course and lung function change of idiopathic nonspecific interstitial pneumonia. Eur Respir J. 2009 Jan;33(1):68-76.


by otowelt | 2014-11-28 00:30 | びまん性肺疾患

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