チャイコフスキーの死因はコレラか自殺か?

e0156318_22225327.jpg●はじめに
 ピョートル・チャイコフスキーは、ロシアで最も有名な作曲家の1人です。個人的にはラフマニノフの方が好きなのですが、チャイコフスキーも彼と同じく豪華なオーケストレーションと甘いメロディーが特徴の作曲家で、私も交響曲は今でも好んで聴きます。
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(ピアノ協奏曲第1番 第1楽章)


●コレラで死亡?
 チャイコフスキーの死因は、実はコレラとされています。1893年11月2日、観劇の後にレストランで会食しているときに川の水をグラスで飲み干したことが理由とされています。その数時間後、とてつもない下痢と嘔吐症状が彼を襲いました。その後無尿に陥り、意識が混濁し、4日後の11月6日に死亡しました。劇的な経過ではありますが、コレラの経過として大きな矛盾はなさそうです。
Kornhauser P. The cause of P.I. Tchaikovsky's (1840-1893) death: cholera, suicide, or both? Acta Med Hist Adriat. 2010;8(1):145-72.

 彼がホモセクシャルであったことから、死因に関してはいろいろな憶測が飛びました。非倫理的な行為(年下の男に執着)から皇帝に自殺を強要されたのではないかとする説も有力視されました。また、もともとうつ病の症状が強く、恋する男性との関係が成就しないことに悲観して自殺を受け入れたのではないかとする意見もあります。ただ、自殺説の根拠は「葬儀の際、親戚やファンがコレラに感染していたはずの遺体(チャイコフスキー)に触れたりキスしたりしていた」というものでした。コレラが死の感染症として恐れられていた当時、遺体に触れることができる葬儀というのは、コレラの葬儀ではありえないという専門家の意見が根強いです。対外的に無理矢理コレラにしたのではないかと考えられました。

 しかしながら、現時点での世界的コンセンサスとして、チャイコフスキーの死因はコレラであったと結論づけられています。真相は闇の中です。

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<偉人たち>
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Ziehl-Neelsen染色の考案者1:Franz Ziehl
Ziehl-Neelsen染色の考案者2:Friedrich Carl Adolf Neelsen
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Pancoast腫瘍の提唱者:Henry Pancoast
Clara細胞の発見者:Max Clara
サコマノ法の考案者:Geno Saccomanno
Mendelson症候群の提唱者:Curtis Lester Mendelson
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by otowelt | 2014-12-13 00:53 | コラム:医学と偉人

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