クリスマスBMJ:アイス・バケツ・チャレンジは世界的著名人に中等度の感染性を有する

 あまり意識したことはなかったのですが、ホーマー・シンプソンって原子力保安検査官だったんですね。

Michael Y Ni, et al.
Transmissibility of the Ice Bucket Challenge among globally influential celebrities: retrospective cohort study
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g7185 (Published 16 December 2014)


目的:
 世界中の著名人で流行しているアイス・バケツ・チャレンジ(下記参照)の実態・リスク因子を同定すること。

・アイス・バケツ・チャレンジ(Wikipediaより)
 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の研究を支援するため、バケツに入った氷水を頭からかぶるか、またはアメリカALS協会(英語版)に寄付をする運動。2014年にアメリカ合衆国で始まり、フェイスブックなどのソーシャルメディアや、動画共有サイトのユーチューブなどを通して社会現象化し、他国にも広まっている。参加者の中には各界の著名人や政治家も含まれており、寄付金の増加やALSの認知度向上に貢献している。
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(Wikipediaより使用)

デザイン:
 レトロスペクティブコホート研究

セッティング:
 ソーシャルメディア(YouTube, Facebook, Twitter, Instagram)

対象:
 デイヴィッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウド、ベネディクト・カンバーバッチ、ステファン・ホーキング、マーク・ザッカーバーグ、オプラ・ウィンフリー、ホーマー・シンプソン(アニメキャラクター)、カーミット(セサミストリートに出てくるカエル)が当該症例として設定。また、そのほか著名なアイス・バケツ・チャレンジャーに接触し、5リレーまで追跡し合計99人をコホートに登録した。

アウトカム:
 Basic reproductive number(R0)。ある集団にある感染症を有する患者が入ってきたとき、1人が平均何人にうつすかをあらわす指標。R0が1未満であれば感染はなくなり、R0が1なら常に同じ数の感染者が維持され、R0が1を超えれば感染は拡大する。

結果:
 われわれの調査の結果、平均R0は1.43だった(95%信頼区間1.23-1.65)。また、次のバケツ・リレー受諾までのインターバルは平均2.1日(中央値1日)だった。ホーマー・シンプソンとカーミットはテレビキャラクターであり、そのパーソナリティがよくわからなかったため、回帰モデルには組み込まなかった。参加者の純資産(常用対数)の高さは、バケツ・リレーの伝播と相関していた(オッズ比1.63、95%信頼区間1.06-2.50)。
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(文献より引用)

 ただし、Facebookの「いいね!」の数や、ツイッターのフォロワーの数とは関連性はなかった。
 R0はパンデミックA/H1N1 2009インフルエンザウイルスと同等の感染性を有することがわかり、MERSコロナウイルスよりは高い感染性を有していた。麻疹や天然痘ほどの感染力はなかった。
 本研究では重篤な合併症はなかったが、過去にアイス・バケツ・チャレンジによって頭部外傷などの有害事象が報告されており、死亡した例も存在する。

結論:
 アイス・バケツ・チャレンジは世界的著名人の集団において中等度の感染性を有し、パンデミックA/H1N1 2009インフルエンザウイルスと同等の範疇である。純資産の多い著名人に広まりやすい傾向にあり、社会的な影響を反映している側面もあるだろう。


by otowelt | 2014-12-19 09:26 | その他

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