ARDS患者におけるサイトメガロウイルスの血清学的陽性はアウトカム不良と関連せず

e0156318_17262418.jpg サイトメガロウイルスとARDSの関連についての論文です。

Ong, David S. Y, et al.
Cytomegalovirus Seroprevalence as a Risk Factor for Poor Outcome in Acute Respiratory Distress Syndrome
Critical Care Medicine: February 2015 - Volume 43 - Issue 2 - p 394–400


目的:
 サイトメガロウイルスのキャリアの患者では、免疫不全がない患者であっても同ウイルスの再活性化は重症疾患を複雑化する。ARDSの患者ではこの再活性化が起こりやすいとされている。サイトメガロウイルスが血清学的に陽性である免疫不全のない患者のARDSに対して、予防的な抗ウイルス薬をICUで用いる手法がある。われわれは、サイトメガロウイルスが血清学的に陽性であるARDS患者の合併症・死亡に関するリスク因子を調べた。

方法:
 オランダの2施設のICUにおけるプロスペクティブ観察コホート研究。28日時点の生存日数と人工呼吸器非装着日数を複合アウトカムとした。
 患者は新規にARDSと診断された患者で、少なくとも4日の人工呼吸器を要するものとした。免疫不全のある患者や、ICU入室前に抗ウイルス薬を使用していた患者は除外となった。
 サイトメガロウイルスはリアルタイムTaqman CMV-DNA PCRを用いて検出。

結果:
 2年の間に306人の患者が登録され、そのうち209人(68%)がサイトメガロウイルスが血清学的に陽性だった。血清学的に陽性の患者は、高齢でCOPDや糖尿病を罹患している頻度が高かった。
 サイトメガロウイルス再活性化は209人のうち53人(26%)の患者でみられた。28日時点で306人のうち100人(33%)が死亡ないし人工呼吸器を継続していた。交絡因子を補正すると、サイトメガロウイルス陽性はプライマリアウトカムに関連していなかった(粗オッズ比1.09、95%信頼区間0.90-1.70、補正オッズ比1.01、95%しr内区間0.64-1.59)。またサイトメガロウイルス陽性は、サブグループ解析においてもアウトカム不良と関連していなかった。しかしながら、敗血症性ショックの状態でARDSにいたった患者ではこの関連性は有意に観察された(補正オッズ比2.86; 95%信頼区間1.32–6.23)。
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(文献より引用)

結論:
 ARDSの患者においてサイトメガロウイルスが血清学的に陽性であっても、人工呼吸器装着期間の延長や死亡率の増加とは関連していなかった。しかし、敗血症性ショックの場合は例外的に有意な関連性がみられた。そのため、非選択的なサイトメガロウイルス陽性のARDS患者に対する抗ウイルス薬の予防戦略に臨床的な意義は見いだせないと考える。


by otowelt | 2015-02-02 00:48 | 集中治療

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