術後肺瘻に対する自己血パッチは有効

e0156318_9435819.jpg 私は呼吸器内科医ですが、呼吸器外科学会誌も毎回読んでいます。外科的に難しいものは読んでいませんが、内科医からみてもためになる論文は非常に多いです。

木村賢二ら.
完全胸腔鏡下肺葉切除術後肺瘻に対する自己血パッチを用いた早期治療の有効性
日本呼吸器外科学会雑誌Vol. 28 (2014) No. 7 p. 848-853


背景:
 完全胸腔鏡下肺葉切除術後の肺瘻治療に難渋することはしばしば遭遇する.

方法:
 本研究では,完全胸腔鏡下肺葉切除後肺瘻に対して,自己血や薬剤の胸腔内投与による肺瘻治療を行った症例の治療成績を明らかにし,特に術後早期に行う自己血パッチの有用性を検討した.当施設で肺癌に対し完全胸腔鏡下肺葉切除術を施行した術直後に気漏を認めた41例を対象とした.
 気漏に対して,術後早期に自己血パッチを行った群:A群(n=16)と,術後早期は経過観察のみとした群:B群(n=25)の2群に分けた.

結果:
 術直後の気漏量(4段階に分類)は,A群の方が多かった(p=0.001).術後2日目までに気漏が消失したのは,A群で9例(56%),B群で5例(20%)と有意にA群で多かった(p=0.04).
 ドレーン留置期間においては,A 群では3―14日(平均6.8 日),B 群で2―14 日(平均6.8 日)と有意な
差は認めなかった。
 自己血投与量は,平均2.4(1.6―3.7)mlkg で,気漏消失時期との統計学的有意差は認めなかった.また,A 群において,自己血パッチ投与後24時間以内に気漏の消失を認めたのは,追加治療分を含めると16 例中10 例(62%)であった.

結論:
 自己血パッチを術後早期に行うことは,完全胸腔鏡下肺葉切除術の術後肺瘻に対して有効で安全な治療法である可能性が示された.


by otowelt | 2015-01-25 09:44 | 呼吸器その他

<< 慢性好酸球性肺炎に対するステロ... アノーロ®エリプタは重症腎不全... >>