既治療非小細肺癌に対するアファチニブの中枢神経系に対する効果

既治療非小細肺癌に対するアファチニブの中枢神経系に対する効果_e0156318_10393125.jpg ジオトリフを使っている呼吸器内科医は増えていると思います。

Hoffknecht P et al.
Efficacy of the Irreversible ErbB Family Blocker Afatinib in Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Tyrosine Kinase Inhibitor (TKI)-pretreated Non-small Cell Lung Cancer Patients with Brain Metastases or Leptomeningeal Disease.
J Thorac Oncol. 2015 Jan;1(10):156-163


背景:
 アファチニブは、EGFR遺伝子変異のある非小細胞肺癌のファーストライン治療に効果があることが示されている。またEGFR-TKIによる治療で進行した患者に対しても効果がある。加えて、アファチニブは中枢神経系への効果もあるとされている。われわれは、既治療の脳転移を有する非小細胞肺癌の患者に対して、コンパッショネート・ユースの期間にアファチニブを受けた患者のアウトカムを報告する。

方法:
 NSCLCの患者は少なくとも1剤の抗癌剤治療および1つのEGFR-TKI治療を受けた後に進行がみられた患者を対象とした。診療録、患者背景、EGFR遺伝子ステータス、病勢進行を含めた有害事象について記録された。

結果:
 2010~2013年で573人が登録され、541人がアファチニブ治療を受けた。100人(66%が女性、年齢中央値60歳)が脳転移または髄膜腫症を有しており、74%がEGFR遺伝子変異陽性だった。中枢神経系の病変の治療無効までの期間の中央値は3.6ヶ月で、中枢神経系に病変が無いマッチ患者100人と差はみられなかった。
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(文献より引用)

 35%(31人中11人)で治療反応が評価でき、5人(16%)が脳のみへの反応だった。その期間は120日(範囲21-395日)だった。66%(32人中21人)がアファチニブによって脳病変のコントロールが可能だった。
 アファチニブが脳病変に対して劇的な効果をもたらした1例の髄液中アファチニブ濃度を調べたところ、1nMolに近い濃度が検出された。
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(文献より引用)

結論:
 アファチニブは中枢神経系の転移に効果をもたらす十分量が到達することがわかった。EGFR遺伝子変異がある、または同TKIに感受性のある非小細胞肺癌の患者では、複数の治療歴があってもアファチニブは効果的かもしれない。


by otowelt | 2015-02-06 00:21 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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