バッハの失明の原因は医療ミス?

e0156318_1045829.jpg●はじめに
 ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685年~1570年)はドイツで活躍した作曲家・音楽家です。バロック時代の有名な作曲家で、鍵盤楽器の演奏家としても名をはせていました。私も昔バッハのピアノの練習をしたことがありますが、激しい動きが少ないのであまり好きではありませんでした(今でも古典派以降のクラシックしか聴きません)。
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(パルティータ1番 B♭[BWV 825])

●バッハの眼疾患
 バッハは白内障を患っていたことで有名で、1750年3月にイギリスの高名な眼科医ジョン・テイラーに手術を依頼しました。当時の眼科手術ですから、質の方は予想通り・・・といったところで。手術後、テイラーは記者会見で「手術は大成功でした!バッハの視力は完全に回復した!」と豪語していたそうです。しかし、手術後の合併症によってバッハは晩年ほぼ失明に近い状態で病床に臥せていたとされています(Ned Tijdschr Geneeskd. 1985 Dec 21;129(51):2458-62.)。

●眼科手術後の重篤な合併症
テイラ―の術式が一体どういうものであったかは定かではありませんが、ものすごい眼痛を訴えていたことから術後緑内障を発症していたのだろうとされています(Acta Ophthalmol. 2013 Mar;91(2):191-2.)。また、水晶体に手を加えていることから眼内炎を起こしていたことは必至でしょう。網膜剥離の可能性も指摘されています(Arch Ophthalmol. 2005 Oct;123(10):1427-30..)。

 一体テイラー医師がどんな手術をやってのけたのか謎は残るばかりです。実は、著名な作曲家であるヘンデルもテイラー医師による眼疾患の手術を受けたものの、失敗に終わっています。当時の眼科手術が難しかったのか、テイラー医師に手技的な問題があったのかは分かりませんが、2人とも重篤な術後合併症を起こしたことは間違いありません。


<音楽と医学>
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by otowelt | 2015-02-10 00:41 | コラム:医学と偉人

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